密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

世界の132のオーケストラのプロフィールが充実。「最新版 世界の名門オーケストラ 」

編集:音楽の友、レコード芸術

 

世界の主要オーケストラを紹介した本。ムック本サイズで、白黒印刷。世界のオーケストラとして紹介されている団体は132。ただし、扱いはオーケストラごとに違っている。ベルリンフィル、ウィーンフィル、コンセルトヘボウといったトップオーケストラについては4ページの扱い。スイスロマンド管弦楽団、ロンドンフィル、チェコフィル、ニューヨークフィルハーモニックなどは2ページ、マーラー室内管、ウィーン交響楽団、モントリオール交響楽団などは1ページが割かれている。さらに日本については一通り載っている。

 

巻頭部分の解説では、「ブランディング/ポジショニングのいま」と題して、世界的にオーケストラの均質化が進む中で、SNSやストリーミング配信といったデジタル技術を駆使したブランド化、ハンブルグ・エルプフィルハーモニーホールが本格的に火付け役となったブランド化と一体化、女性指揮者の登用によって差別化していこうという流れが紹介されている。このような活動は、伝統のある名門というよりは中堅のオーケストラで目覚ましい。

 

オーケストラをテーマにした指揮者のインタビューもある。大野和士は、ヨーロッパのオーケストラといっても国ごとに違い一緒にはできない、と語っている。山田和樹はオペラは歌手が優先でオーケストラはそれに合わせなければならないのでオペラをやっているオーケストラの方が音楽の柔軟性や即興性は上であると述べている。

 

とりあえず、いろいろなオーケストラのプロフィールが載っていてわかるので、たくさんクラシック音楽を聴く機会のある人にとってはガイドにはなるかもしれない。

 

新型コロナの流行によって世界的にオーケストラは厳しい時代を迎えているが、この本は本格的な流行の前に企画されたようで、それについては載っていない。

 

音楽之友社、ムック本、223ページ、2020/3/23

最新版 世界の名門オーケストラ (ONTOMO MOOK)

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  • 発売日: 2020/03/23
  • メディア: ムック