著:岸良 裕司
「ザ・ゴール」で有名になったTOC(Theory Of Constraint)をベースにイノベーションを起こす「E4V」という手法について説明した本。以下のような3つのステップで成り立っている。
1.価値を作る
・価値を見つける3つの目
・WOW!カタログ
・WOW!ロードマップ
2.価値を伝える
・変化の4象限
・市場の教育
3.実現への道のりを創る
・仮定の検証
・ミステリー分析
・ODSC
・バックキャスト工程表
・断れない提案
ワークショップの手法として実践されてきた内容をまとめている。進行には以下のようなワークシートを使ってゆく。
マイナス・マイナスの「顧客の目」ワークシート
(1)顧客は誰ですか? |
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(2)顧客にとって重要なマイナスは何ですか? |
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(3)取り除くとWOW!という重大なマイナスはどれでしょうか? |
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(4)それは今までのどんな限界を取り除きますか? |
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プラス・プラスの「市場の目」ワークシート
(1)ある需要を満たすだめに、あらゆる苦労をいとわない小さな顧客グループはありますか? |
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(2)彼らはどんなプラスの要望を満たそうとしていますか? |
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(3)その要望を満たすと大きなプラスの市場になると思われることはどれでしょうか? |
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(4)それは今までのどんな限界を取り除きますか? |
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振り切って考える「商品の目」ワークシート
(1)商品が構成されているパラメータは何ですか? |
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(2)それらのパラメータを大きく上下に変化させたり、なくしたり追加すると、どんな価値をもたらしそうですか? |
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(3)大きなWOW!をもたらしそうなものはどれでしょうか? |
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(4)それは今までのどんな限界を取り除きますか? |
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お客様の立場で検証する「変化の4象限」ワークシート
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プラスが生じること |
マイナスが生じること |
買 う こ と |
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買 わ な い こ と |
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振り切って考える「商品の目」ワークシート
(1)何と価値を比べるのか? |
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(2)何を価格を比べるのか? |
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(3)お客様がもっとも購入したいと思う場面は? |
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(4)もっとも適した流通チャネルは? |
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(5)参入障壁をどうやって創るか? |
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(6)誰と組めばビジネスモデルを強固にできるか |
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事業性のチェック
事業性のチェック項目 |
想定 |
その理由は? |
検証(はい・いいえ、新たな発見) |
(1)市場の大きさは? |
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(2)どれだけ利益が見込める? |
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(3)模倣の難しさは? |
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(4)競合が追いつくにはどれくらいかかる? |
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(5)投資と運用のコストは? |
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(6)実現を難しくしている社内の制約は? |
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(7)投資回収にどれくらいかかるか? |
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(8)売上、利益、シェアのプランは? |
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失敗を学びに変える「ミステリー分析」ワークシート
質問1 問題は何ですか?
質問2 もともと何か起こると期待していたか?
質問3 そのためにどんなことをしたか?
質問4 実際に起きてしまったことは何か?
質問5 何が原因でそうなったのか?
質問6 その原因を解消するうまい方法はあるか?
質問7 その解消策を行うと期待したことが起きそうか?
目的をすり合わせる<ODSC>ワークシート
(1)目的は何ですか? |
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(2)成果物は何ですか? |
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(3)成功基準は何ですか? |
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バックキャスト工程表を創るための質問
(1)その前にやることは何ですか?
(2)本当にそれだけですか?
(3)〇〇をしたら、△△ができるんですね?
抵抗の6階層で考える「断れない提案」ワークシート
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相手の抵抗は何か |
抵抗を乗り越えるために何を準備すべきか |
抵抗1 取り組もうとしている問題が問題とは思えない |
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抵抗2 解決しようとしている方向性に合意しない |
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抵抗3 その解決策で、問題が解決するとは思えない |
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抵抗4 その解決策を実行すると、ネガティブな問題が発生する |
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抵抗5 その解決策を実行するのは、障害があるので現実的ではない |
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抵抗6 知らないことに対する恐れがある |
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読みやすく書かれており、わかりやすい。事例もいくつか載っている。このようなものは、どう実践するかが重要である。
単行本、224ページ、ダイヤモンド社、2019/4/4
優れた発想はなぜゴミ箱に捨てられるのか? 限界を突破するTOCイノベーションプロセス
- 作者: 岸良裕司
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/04/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)