著:エリヤフ・ゴールドラット、岸良 裕司、青木 健生、イラスト:蒼田山
「ザ・ゴール」の続編。コミック版である。前作で閉鎖寸前だった工場の立て直しを行った主人公が、多角事業本部長として業績の冴えない3つの多角化事業の再建に取り組むというストーリーである。
ポイントは「思考プロセス」。「クラウド」を描きつなげて対立関係をはっきりさせ、解決策を模索する。特に、ある行動によって引き起こされるネガティブな可能性を図にした「ネガティブブランチ」は重要。
複数の条件が重なっている線同士には細長い囲み線を描いて「かつ」を意味する連結関係を示す。
そもそも問題というものは、「原因」がありその「結果」あるいは原因によってもたらされる「現象」でしかない。TOCではそれを、UDE(Undesirable Effect)と呼ぶ。
そして、TOCでは、UDEをリストアップして、「現状ツリー」(Current Reality Tree)を描く。この「現状ツリー」を完成させて問題と因果関係を整理して見える化してゆけば、因果関係も含めた問題を構成する全体像と根本的な原因がどこにあるかが見えてくる、という手法である。特に、様々な問題につながっている問題の「コア」を見つけることが重要になる。
また、「現状ツリー」で現象がきちんと因果関係を明確にして整理できれば、良いアイディアも生まれる、という。
さらに「未来実現ツリー」が登場する。ここでは、「UDE」を「DE」(Desirable Effect)に変えると何がどうなるかを考え、明るい未来を創るにはどうするかを図式化する。
ただし、大きな目標はいきなり到達するのが難しい。そこで、中間目標を見つける。そのために役立つのが「前提条件ツリー」になる。障害をかわして中間目標を達成する順番をツリーを描きながら見つけてゆく。
最後に、人が明晰に考えることに障害となりがちなこととして、以下の4つが挙げられている。
- ものごとを複雑だと考える
- 人のせいにする
- 対立は仕方がないことと考える
- わかっているという
漫画でストーリー仕立てなので、読む負担が小さく、わかりやすく、読みやすい。
単行本、240ページ、ダイヤモンド社、2016/3/18