密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

「おバカ大国」オーストラリア だけど幸福度世界1位! 日本20位! (中公新書ラクレ)

著:沢木サニー祐二

 

 アメリカ人、フランス人、イギリス人、フランス人、イタリア人、中国人、韓国人に比べ、オーストラリア人(オージー)だけの気質をテーマにした本はいままであまり見かけたことがないので手に取った。

 刺激的なタイトルにあるように、特に前半ではこれでもかと呆れるような特徴が列挙されているのだが、だんだん、見習うべきところもあるかも、と思えてくるような流れで書かれている。

 ちなみに、オーストラリアはOECDの「より良い暮らしの指標」ランキングで第1位の国なのだという。

著者によると、オージーとはこんな人なのだという。

その1 体だけ大きな子どものよう
その2 酒をとにかく飲む
その3 かなりヤバいティーンたち
その4 大麻、ドラッグ蔓延
その5 予想通り「働かない」
その6 失業保険でエンジョイ
その7 流刑者の血をひくメンタリティ
その8 車の運転がヤバイ

 原因と結果が結びつかず、こうしたらこうなると考えない。現状認識が著しく低く、周囲の状況を細かく理解しようとしない。

 フレンドリーだが、時間は守らず、他人の話は聞かず、自分のことをしゃべりまくる。自分がミスしても謝らない。

 トラブルへの対処方法は「放置」「攻撃」「逃げる」の3つのうちどれか。野生動物がそこらへんにいるが、特に動物愛護というわけではない。給与水準は高いが、物価も高い。

 ついでに、そんなオージーにとって衝撃的なグローバル化は、ユニクロとダイソーだった。近年は、中国からの移民が、今までのんびりやってきたオージーの職を結果的に奪ったりするようなこともおきている。

 


 オージーの価値観の中心は「強さ」にある。社会はストレートでシンプル。賢さよりスペシャリストであることが評価される。

 他人のミスやトラブルに寛容。失敗してもあっけらかんとしている。ミスが自分のせいでないときはあっさり謝る。外交も裏工作なし。分かりやすさが尊重される。

 学びたいことは集中して学ぶ。他人の目は気にしない。他人のことは理解できないし、自分のことは自分が一番よく知っていると考える。視野は狭くたって結構と開き直る。自国に誇りを持っている。

 不必要なことはしないし、嫌なことは我慢しない。頭にきたらとことん怒るが、けろっと忘れる。良いことがあれば、ラッキーだと思う。

 オーストラリアは、国が広く、地理的に孤立した大陸。資源が豊富で、面積に比べて人口は少なく、国が新しく、第二次世界大戦で日本軍に少し攻撃を受けたくらいで他国に占領されたことはない。周辺国との関係も他地域に比べてそれほど込み入った歴史はない。

 英語圏であるため英語全盛の現代の国際社会においても言葉のハンディが無い。日本人から見て少々首をかしげてしまうような部分も、逆に、日本人が参考にすべきところもありそうだが、どちらにしても、こういった背景の違いをきちんと念頭においた上で理解する必要があるのだろうと思った。

 

新書、225ページ、中央公論新社、2015/3/9

「おバカ大国」オーストラリア だけど幸福度世界1位! 日本20位! (中公新書ラクレ)

「おバカ大国」オーストラリア だけど幸福度世界1位! 日本20位! (中公新書ラクレ)

  • 作者: 沢木サニー祐二
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/05/08
  • メディア: Kindle版