著・監修:八子 知礼、著:杉山 恒司、米田 隆幸、竹之下 航洋、松浦 真弓、土本 寛子
著者は2016年が日本におけるIoT元年になったという。2015年にもいろいろな取り組みはあったが、多くの日本企業が取り組みを本格化させたのは2016年からであり、経産省と総務省がIoT推進コンソーシアムを発足させたのが2015年12月で、日本政府とドイツ政府がIoTの共同推進化で覚書を交わしたのが2016年4月になる。
ただし、日本では「生産性向上」「見える化」が目的になっていたのに対して、アメリカのIICなどでは「デジタルツイン」「デジタルトランスフォーメーション」のような、バリューチェーンをフルデジタルで実現する動きが行われている。
IoTを構成する要素は末端のデバイスから通信、処理方式、ビッグデータ、アプリケーションレイヤまで多岐にわたる。
全体のリファレンスモデルとしては、ドイツのPlatform Industrie 4.0が定めているリファレンス・アーキテクチャ、IoT World Forumが定義するリファレンスモデルなどがある。
IoTではエッジコンピューティングの役割が重要であるし、通信方式もLPWA(Low Power Wide Area)の方式がいろいろ登場しているので、その解説もある。
IoTデータの特徴としては、データ量が多い、規格がいろいろ、ノイズが多い、タイムラグの発生、追加や変更の可能性と継続的なメンテナンスの必要性が挙げられている。そして、様々なデータを収集し、蓄積し、整形し、集約し、分析し、可視化する。
第2章は事例紹介。風力発電モニタリング、オフィス空間の可視化、設備管理といった事例が紹介されている。第3章はスキルと体制の話である。
ムック本サイズ。一般的な話はもちろん、著者たちの経験に基づく話が盛り込まれているのが特徴である。
単行本、152ページ、日経BP社、2018/10/18