著:岡田 斗司夫
「世界を支配したからって、好きなことができるわけではない。逆に揉め事を持ち込まれ、だれよりも公平であり中立であることを要求され、気に入らなくても処刑も弾圧もできず、無理にやったらいずれ滅ぼされる。それが現実の『世界征服』の姿なのです」。
なかなか凄いタイトルだ。アイディアがよい。アニメやヒーローものや映画でひんぱんに登場する普遍のテーマをユーモアたっぷりに論じながら、でも実際の社会でこれをやるのは大変だよね、やるとしたらまずこうしなきゃ、というノリで論じる。途中、何度もにやりと笑った。記述が具体的で例示を伴っている部分が多いので、読みやすい。
基本的には軽い内容だが、時々鋭い視点が登場する。例えば「次に支配者が忘れてはいけないのは教科書の改訂です」「(現代の)日本は階層社会になろうとしていますが、階級社会ではありません」とか。ローマ帝国とアメリカの比較も面白い。
新書、190ページ、筑摩書房、2007/6/1