著:角田 光代
交際相手の既婚男性から、
おなかの子供を堕せといわれてそうせざるをえなかった希和子。
しかし今度は、その男性と妻の間に赤ん坊ができ、彼女はその子を誘拐する。
そして、はじまった逃避行。。。
いや、なんという小説だろう。
ページをめくりながら、ため息をつき、
何度もやりきれない気持ちになった。
こういう作品は、読み手も結構エネルギーを使う。
なのに、読みはじめると止められない。
大きくは2章構成になっている。
特に前半の展開は素晴らしく、途中で息が詰まりそうだった。
後半は視点が変わる。
そして、エンディングは静かで深い余韻が残る。
映画にもなった角田 光代の作品。
見事な長編。傑作である。
文庫、376ページ、中央公論新社、2011/1/22