密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

整理・整頓が人生を変える: 毎日がイキイキする「ライフファイリング」の方法

著:小野 裕子

 

整理・整頓の本。モノというよりは、書類や思い出の記録や各種情報といったものの整理方法について書かれてある。「ライフファイリング」というのはそのような意味である。

 

整理と整頓は違う。ToDoリスト。ファイリングの基本動作は、捨てる・分ける・「見出し」を表示する・並べ替える・もとに戻す。ファイル用品の特徴を知る。A4サイズに統一する。ファイル分類表の記入法。書類の種類別の整理法。デジタル情報の整理方法についても書かれてある。

 

率直に述べて、特殊なことは書かれていないように思われる。むしろ、ちゃんと実行するかの方が問題である。

 

 また、この本、極めて危うい記述もある。「ネット取引を利用している場合は金融機関の口座と取引用ID・パスワードといった全ての情報をまとめたリストを作成しておく。リストはパソコン内だけの保存だと万一の場合に遺族が確認することが難しくなるので、紙でもとっておく」という記述は、どのように見てもおかしい。そんなずさんな保管をしたら、盗まれたときに大変なことになるし、利用者側の不備と落ち度によるものなので不正に金融資産を盗まれても保障対象にならない。また、そもそも故人の口座なら、家族が勝手に亡くなったその人の口座を操作して取引していいということにはならない。まず、その口座を預かる金融に本人の死亡を伝えて死亡証明書を送り、きちんと相続手続きを踏む必要がある。よって、どういう金融機関にどのような口座があるかは家族にわかるようにしておく必要はあるが、取引用IDやパスワードまですべて紙に書いて保管などナンセンス極まりない。こんないい加減なアドバイスを平気で書いている以上、相続や金融やネット取引やセキュリティといった生活情報に関連する基礎的な社会知識が欠けたど素人が書いている本だと判断せざるを得ない。

 

単行本、215ページ、法研、2018/4/23

整理・整頓が人生を変える: 毎日がイキイキする「ライフファイリング」の方法

整理・整頓が人生を変える: 毎日がイキイキする「ライフファイリング」の方法