万年筆の本。Part1では、万年筆の基本構造を軽く説明している。第2章では、各国の万年筆メーカを代表的な製品と共に紹介。MONBLANC, WATERMAN, PARKER, CROSS, SHEAFFERといった海外ブランドと、SAILOR, PILOT, PLATINUMを代表とする国内ブランドが載っている。蒔絵や螺鈿の装飾で有名なNamikiや万年筆博士のようなオーダーメードを得意とするメーカも掲載されている。
Part3では、コレクターである中尾彬や谷村新司のインタビュー、自分に合った万年筆の選び方と基礎知識、インクの選び方などがある。父親から技を伝承したという、セーラー万年筆のペン先職人の長原幸夫という人のインタビューは興味深かった。また、ヴィンテージものの一品を紹介しているページもある。
Part4では、夏目漱石、太宰治、松本清張といった文豪たちと万年筆、モンブランの偉人モデル、万年筆の歴史、国産万年筆の歴史などが載っている。大正から昭和初期には日本で世界の万年筆の半分を生産していた時代があったとは知らなかった。ところが、1939年の金の全面使用禁止公布令と翌年の奢侈品等製造販売制限規制の禁止で高級万年筆の生産が難しくなり打撃を受けたそうだ。また、PILOTの平塚工場見学では、人件費削減のために海外へ生産拠点を移すメーカーが世界的に多い中で、ペンポイントを自前で生産するだけでなく、あくまでも日本製にこだわっているということが各工程の詳しい紹介とともにアピールされている。さらに、ショップガイドも載っている。
オールカラーで写真が多い。販売促進的な狙いもあるからだろうが、印刷は良好で、個性的な万年筆の数々が映えている。
単行本、157ページ、マイナビ、2015/5/23