著:水村俊幸、速水洋志、吉田勇人、長谷川均
セメントは主にクリンカという焼成物からできている。クリンカの主成分は、石灰石・粘土・ケイ石・鉄であり、これを細かく砕いてかき混ぜ、キルンと呼ばれる円筒形の窯に入れて1,450度以上の高温で焼成する。クリンカは原料によって種類が異なり、エーライト、ビーライト、アルミネート相(アルミン酸三カルシウム)、フェライト相(鉄アルミン酸四カルシウム)に分けられる。こうして出来上がったクリンカに急硬化を防ぐための石こうを添加し、セメントミルで粉砕するとセメントになる。
セメントは、砂・砂利・砕石といった骨材と混ぜることでコンクリートになる。セメントペーストはセメントと水からなる。セメントが固まるというのは、セメントと水が水和反応を起こすことである。コンクリートの質を改善するために混和剤(AE剤・減水剤・防錆剤など)と混和材(シリカフォームなど)が用いられる。
コンクリートは用途に合わせて各種材料をどのくらいの割合や数量で用いるかを決める配合設計が必要になる。強度は、圧縮強度・引張強度・曲げ強度・付着強度がある。水の比率、粗骨材の最大寸法などを決めてゆく。生コン工場で製造されるコンクリートをレディーミクストコンクリートと呼ぶ。
鉄筋コンクリート建造物の場合は、最初に鉄筋を組む。コンクリートは圧縮には強いが曲げには弱いので、鉄筋で補強する。鉄筋は主筋と配力筋がある。準備が完了したら型枠内に打ち込みを行う。そして、振動を与える締固めによってコンクリートをいきわたらせる。養生を行う。そして、例えば、寒中コンクリート・暑中コンクリート・マスコンクリート・高流動コンクリートのように、用途によっていろいろなコンクリートがある。
コンクリートには寿命がある。劣化もする。ひび割れ、表面劣化、鉄筋腐食、強度劣化などが生じる。アルカリ性のコンクリートがだんだん中性化していって内部の鉄筋が錆びるということも起きる。塩害、凍害、化学的浸食といったこともおきる。日本は老朽化したコンクリート建築が増えているが、作業員の不足により、点検や補修・補強を必要とするものが増えている。
図解を多く入れながら、コンクリートについての知識をわかりやすく解説した本である。
単行本、248ページ、ナツメ社、2018/5/14