著:桐村 里紗
体臭と口臭がどのような原因で発生するのか、どのようにすれば防げるのか、について書かれた本。著者は医師。
狭義の体臭とは、汗腺(エクリン汗腺・アポクリン汗腺)を通じて分泌される分泌物と皮膚の表面に棲む常在菌の作用による。エクリン汗腺の汗は主に体温調整のためで、発汗習慣をつけてしっかり機能させていればナトリウム濃度が低い状態に抑えられるのでそれほど臭いはしない。
加齢臭は皮膚の中のパルミトオレイン酸という脂肪酸から産生されるアルデヒドの一種であるノネナールというにおい分子が原因になっている。
体臭予防には生活習慣を見直す。石鹸の使い過ぎは皮膚の常在菌に悪影響を及ぼすのでほどほどにする。薬用せっけんは使わない方がいい。有酸素運動を行い、ストレスはためないようにし、糖分の摂取は適度におさえ、上質の油を選び、抗酸化に効果のある栄養素をとる。制汗剤はポイント使用にとどめる。髪と頭皮は洗いすぎない。腸内環境をよくする。
日本人は成人の80%が歯周病で、これが口臭とも強く関係している。歯周病は、糖尿病・心筋梗塞・認知症とも関係するといわれている。就寝前と起床後にプラークコントロールを行い、日ごろから唾液分泌を活発にする。据え置き型の口腔洗浄器、デンタルフロスも効果的。液体オーラルケアはアルコールに注意。舌苔をとりたい場合は、歯ブラシではなく舌専用の柔らかいブラシやガーゼなどでやさしくなでる。
アロマセラピーのように臭いをデザインすることで生活を快適にすることもできる。ただし、香りの強い芳香性柔軟剤や香料の中には、のちに健康や環境に悪影響が見つかるものがある場合も過去にあったのでほどほどにする。
自分の体臭や口臭が気になる人は数多くいると思われる。まったく無縁だ、という人は少ないのではないか。体臭・口臭にどのように対処すべきか、まとまった参考情報として読むには良い本だ。
新書、272ページ、光文社、2018/6/13