44本の廃道を紹介している「廃道をゆく」の続編である。ここでは、さらに51本の廃道が登場する。最初から最後まで、全国津々浦々に静かに眠る、かつての道路や施設の写真の数々に圧倒される。
・森林の中に消えてしまった、手堀りのトンネル
・道路と呼ぶのもためらわれる、手すりもない危険な岩場の道
・渡る人が絶えたまま、険しい谷にかかる朽ちた吊橋
・ダム湖の水位低下で姿を現したかつての街道
・集落の消滅と共に、自然に帰った山道
・完成しないまま放置されて立ち入り禁止になっている高地の道路
・廃線と運命をともにした山奥の隧道
実はかなり珍しい工法を使っていたり、不思議なエピソードを持つものもある。本書は、廃道の紹介だけでなく、トンネルや橋の特徴やその見方、由来ついても言及してある。
最初は、どちらかというと興味本位だった。しかし、読み進めてゆくと、平地の少ない島国日本が近代化に進んだ過程において道路が果たしてきた役割と、峻険な地形に道路を通してきた先人たちの熱意と苦労がいかに大きなものであったかを実感する。歴史の息づかいを感じる。
ムック、116ページ、イカロス出版 、2010/4/26