著:James M. Vardaman
基本的で実用的な単語を表現中心に集めた本。似たような本はたくさんあるのだが、この本の良いところは、3つある。
まず第一の特徴は、網羅性が高いこと。具体的には、本書に収められた単語で、日常会話の90%、普通に目にする書き言葉の84%、フィクションの85%、雑誌などの一般的な記事の81%、学術的な記述の76%をカバーしているという。
第二に、単語を単語単体ではなく、日常生活で使う数語のフレーズ形にしてまとめてあること。単語の本というより、単語の使い方の本というのが正しい。
第三に、単語をアルファベット順とかに並べるのではなく、「クラスター」という形で用途やシーンや意味が類似したものをグルーピングしてある点である。
結果として、一見するとありきたりな本に見えるが、やってみると、よく整理されており、学習が進めやすい。
レベル的には初級の中から上という感じで、個人的には知らない単語はひとつもなかったのだが、日本語を見てそれに相当する適切な表現がすぐ出てこないものはいくつもあって、勉強になった。
音声はネットでダウンロードできる。また、単語部分を覆って確認できるように赤いプラスチックのシートがついている。例文ではない、という点はどうかと思うが、地味ながら、よく考えられた教材である。
単行本、221ページ、朝日新聞出版、2013/9/6