密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

図解・橋の科学―なぜその形なのか?どう架けるのか?

著:田中 輝彦、著:渡邊 英一、編集:土木学会関西支部


 様々な橋と、それを支える技術について平易に解説している。特に、科学的な視点から橋を理解する上で欠かせない、構造力学と材料力学の基本を、とてもやさしく説明することに成功している。よって、特に理系の人でなくとも問題なく読めると思われる。

 板橋、桁橋、トラス橋、アーチ橋、ラーメン橋、吊橋。構造や材料の特性がもたらすもの。様々な工法。歴史。災害と対策。メンテナンス。全編白黒印刷だが、図や写真は多く、理解を助ける。文章も読みやすい。また、橋にまつわる伝説など、時々興味深いコラムがはさんである。

 1991年の「橋のなんでも小辞典」を書いた8人の著者が新たに執筆した本だとある。その後の明石海峡大橋の登場や阪神大震災を経て、近年さまざまな技術的な進歩があったことが、背景にあるそうだ。実際、現代の最新技術を駆使した巨大な吊橋や災害対策については、特に詳しい解説が行われている。

 

「いまそこに橋がかかっているのは、その向こう側にどうしても渡りたいという人々の願いが、困難を克服する技術へと結びついたからです」。


新書で印刷もモノクロのみという点を考えると安くはないが、内容は良い。

 

新書、288ページ、講談社、2010/3/19

 

図解・橋の科学―なぜその形なのか?どう架けるのか? (ブルーバックス)

図解・橋の科学―なぜその形なのか?どう架けるのか? (ブルーバックス)

  • 作者: 田中輝彦,渡邊英一,土木学会関西支部
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/03/19
  • メディア: 新書
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