著:森 正人
面白そうなタイトルなので読んでみた。戦争に負けてボロボロになった日本。進駐軍に群がる人々、パイパンと呼ばれる売春婦のような負の部分、アメリカ的な考えや憧れ、民主主義の称揚、家電ブーム、自家用車ブーム、「奥様は魔女」。日本の戦後の歩みはアメリカ的な価値観や豊かさへのあこがれから生まれている。「NOといえる日本」や最近の保守主義も「おふくろの味」も、アメリカ的な価値観への反発や修正的な考え方も軸になっているのはアメリカ的な思想である。
主観的な記述も散見されるので、細かいところでは人によって異論はあるかもしれないが、大きくは戦後の日本の文化史をざっとおさらいしているような内容であって、この国に生まれ長く生きてきた人なら普通に経験していることでもあり、特に異論はない。ただ、同時に、新味も無い。率直に述べて、あまりに当たり前のことを書いているだけなので、「それで?」と思った。少なくとも、個人的にはこの大上段なタイトルからイメージした期待には及ばなかった。日本の戦後史についてよく知らない、という人ならいいかもしれないが。例えば、海外の他の国と比較するとか、もう少し工夫があればよかった。
単行本、256ページ、KADOKAWA、2018/1/26
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > その他
- ショップ: 楽天ブックス
- 価格: 1,836円