監修:加藤理文
タイトル通り、全国にたくさんある山城跡から特徴的な城を選んで緻密に描かれたカラーの大きな縄張り図によって紹介した本。30 x 21[cm]と、大きめのサイズになっていて、その上、オールカラー。取り上げられている城の数自体は34城と、それほど多くはないものの、その分、ひとつひとつ詳細な縄張り図と解説が伴っており、豊富な写真と図解で、とにかく見せる。
取り上げられているのは、滝山城(東京都)、山中城(神奈川県)、杉山城(埼玉県)、玄蕃尾城(滋賀県・福井県)、竹田城(兵庫県)、小谷城(滋賀県)、月山富田城(島根県)、脇本城(秋田県)、向羽黒山城(福島県)、本佐倉城(千葉県)、春日山城(新潟県)、要害山城(山梨県)、一乗谷城(福井県)、七尾城(石川県)、飯盛城(大阪府)、郡山城(広島県)、志布志城(鹿児島県)、古宮城(愛知県)、増山城(富山県)、箕輪城(群馬県)、鮫ケ尾城(新潟県)、八王子城(東京都)、丸子城(静岡県)、佐柿国吉城(福井県)、鎌刃城(滋賀県)、赤木城(三重県)、唐沢山城(栃木県)、岡城(大分県)、岩村城(岐阜県)、高取城(奈良県)、鳥取城(鳥取県)、備中松山城(岡山県)、松山城(愛媛県)、一宮城(徳島県)。竹田城のような人気の城もあるが、一般的にはそれほど知られていない城もある。
山城ということで、素人受けする天守閣があるものはほとんどなく、なんといっても見どころは防御施設としての縄張りである。その図がとにかく素晴らしい。また、図だけでなく現地で撮影された現在の写真も適時はめ込まれているので、さらにリアリティがある。
数は少ないが、コラム欄もある。城には、本城、詰城、根城・支城、境目の城があって、それぞれ役割分担してネットワークを維持しながら防御網を維持し、さらに監視用の「伝えの城」や、補給・駐屯のための一時的な「繋ぎの城」があったとされる。また、山城は、地選(場所決め)→地取(具体的なプラン)→縄張(縄を張って行う配置設計)→普請(土木工事)→作業(建造物建築)という流れで作られ、並行して城下町が作られた、という説明もある。山城の攻め方として、付城の築城、放火、挑発、刈田、補給、本陣作りといったプロセスがあり、籠城は基本的に後詰めによる支援を待つ作戦であったことが書かれている。巻末には、本文で紹介されている以外の主要な山城の一覧表がある。
単行本、148ページ、学研プラス、2018/1/15
大きな縄張図で歩く!楽しむ! 完全詳解 山城ガイド 全国山城リスト85城つき (学研ムック) [ 加藤理文 ]
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