密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

世界のサンドイッチ図鑑: 意外な組み合わせが楽しいご当地レシピ355

著:佐藤 政人

 

 タイトル通りの本。世界のサンドイッチがすべて写真付きでたっぷり紹介されている。全部で355種類。この本の厚さも、ちょっとしたサンドイッチ並みである。

 本書でのサンドイッチの定義は「パンもしくはパンに相当するもの(パン生地、パイ、パイ生地、ラテンアメリカのプランティンなど何でもかまわない)で具をはさんでいるもの」か、「オープン・サンドイッチ、パンの上に何かがのっている、あるいは何かがかかっているもの」という。ということで、いくつかこれがサンドイッチ?というものもあることはあるが、全体的にはそう違和感はない。

 国別に分類されている。まずは、イギリス。多くの日本人がサンドイッチと聞いて真っ先に思い出す耳の無いパンに卵や野菜を挟んだ「ティー・サンドイッチ」。早起きが嫌いだったものぐさシェフの作った「シューターズ・サンドイッチ」は、重石で一晩おいてコンパクトにするので、ラウンド・ラスティ・ブレッドにステーキとマッシュルームが詰まっていておいしそうだ。アイルランドの「クリスプ・サンドイッチ」は、バターを塗った食パンでポテトチップスを挟んだもの。これは新鮮な驚きで、栄養バランスには問題がありそうな気がするが、その気になれば日本でも簡単にすぐ作れる。

 ドイツの「ブラットヴァルスト・イム・ラウゲンスタンゲン」は、いかにもドイツっぽいソーセージとザワークラフトをはさんだもの。オーストリアでは「ボスナ」という長いソーセージを使ってカレーパウダーをかけたホットドックがある。オランダは、「ベスハウト・メット・マウシェス」という、小さな粒を表面に散らしたものがある。ベルギーの「ブローチェ・クラブサラーダ」は、日本で発明されたカニカマをはさんでいる。イタリアの「スキャッチャータ」はトスカーナやシシリーで親しまれているフラットブレッド。フランスの「パン・バーニャ」はストリートフードとしても人気。スペインの「モンタディート」は居酒屋で欠かせない。

 フィンランドの「ポリライネン」は分厚いソーセージが挟んである。スウェーデンには「マクリル・ポア・ブラート・メッド・アグローラ」という鯖を使ったオープンサンドがある。ノルウェーではトナカイの肉を使ったオープンサンドがある。デンマーク人は豚肉が好きで「フレスクステグス・サンドウィッチ」というローストポークを使ったサンドイッチがコペンハーゲンのいたるところで見られるという。

 ハンガリーの「ホルトバジ・パラチンタ」はクリーミーなソースがかかったパンケーキ。ポーランドの「カナプカ・ズ・カシャンカウ」はブラッドソーセージのオープンサンド。チェコの「スマジェニイ・シール」は分厚いチーズがはさまっている。ロシアの「ブルヌイ」は宗教・文化においても重要なパンケーキ。

 トルコの「ラヴァーシュ・トースト」は薄いパン生地の特徴を生かしていろいろな食べ方がされる。イスラエルの「サビーフ」は、料理ができない安息日用の食材を詰めたものが売られ始めて今では人気のファストフード。イラクの「ムサクァハン・オン・ラファ」は骨付きの鶏肉を平らなピタブレッド上に並べる。

 アメリカはハンバーガー&サンドイッチ大国だ。「フレンチ・ディップ」はロサンゼルスにある2つのレストランがいまだに本家争いをしているという。ハワイにはアロハ醤油を使った甘いサンドイッチがある。カナダの「モントリオール・スタイル・スモークド・ミート・サンドイッチ」は牛肉のボリュームがすごい。

 メキシコの「トルタ・デ・アグアカテ・フリト」はフライのアボガドが入っている。ジャマイカの「ジャークチキン・サンドイッチ」は西アフリカから連れてこられた奴隷がもたらしたものが変化したとか。コスタリカの「ピカディーヨ」はジャガイモやカボチャの入ったミートソースを挟んで食べる。ブラジルの「バウル」は大量のチーズが詰まったステーキのサンドイッチ。アルゼンチンの「サンドイッチ・デ・ミラネッサ」はイタリア移民が持ち込んだもの。

 エジプトの「クナーファ・ウィズ・クリーム」はデザート。モロッコの「バトブート」はフライパンで作れるマフィンに似た食べ物。南アフリカの「バーニ・チャウ」はパンの中身を取り出してカレーを流しこんで作る。

 中国の「ツウ・パイ・パオ」はマカオ生まれのポークチョップ・サンドイッチ。マレーシアの「ロティ・ジョン」はオムレツがパンに張り付いた感じである。インドの「パニール・ティッカ・カティー・ロール」は元々肉が使われていたが、この国ではベジタリアン向けにして食べられていることが多いという。オーストラリアには「カンガルー・ハンバーガー」がある。日本独自のサンドイッチとして、カツサンド、焼きそばパン、フルーツサンドが紹介されている。

 もう、見ているだけでおなかいっぱいになりそうなくらい、これでもかこれでもか、と続く。しかも、すべてレシピ付き。この分量で、この内容で、お買い得である。

 

単行本、303ページ、誠文堂新光社、2017/3/3

 

世界のサンドイッチ図鑑: 意外な組み合わせが楽しいご当地レシピ355

世界のサンドイッチ図鑑: 意外な組み合わせが楽しいご当地レシピ355

  • 作者: 佐藤政人
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2017/03/03
  • メディア: 単行本