著:Bill Lubanovic、監修:斎藤 康毅、翻訳:長尾 高弘
Python3の本です。結論から書くなら、ぶ厚くてお値段も少々お高いですが、それだけのことはあります。基本的に触りながら学んでいく感じが重視されていて、まったくの初心者向けとはいえませんが、他のコンピューター言語を学んだことがあるひとなら、実践的な手順で基本からマスターできます。
網羅性が広いことも特徴だといえます。後半はリレーショナルデータベースやNoSQLとの処理、並列処理、IPython、pdb、わずかですがCythonやGit、付録にはPyアート、ビジネスや科学におけるPyのパッケージ(math, NumPy, Scipy)の紹介などが掲載されています。ただし、それぞれはあまり詳しいものではなく、こういうものがあって、ここから入手して、このような使い方をする、というような感じです。
Python3の文字列はUnicode文字列であってバイト列ではなく、この点がPython2からPython3への移行において最も大きな変更になるとのことで、Unicodeの扱いについてもページが割かれています。
タイトルには「入門」とありますが、かなり分量があることもあり、この本はプログラミング自体の経験が浅い人には厳しいと思います。むしろ、本当の入門レベルのものを読んだ後に、Pythonの広がりをより体系的に理解する用途としておススメの本だといえます。
単行本、600ページ、オライリージャパン、2015/12/1