著:池井戸 潤
「半沢直樹シリーズ」で有名になった池井戸 潤の社会派長編小説。こちらは下巻である。巨大グループ企業の立場を利用してあらゆる方面に圧力をかけ、徹底的に隠蔽を図るホープ自動車。ちいさな運送会社の危機がさらに深刻さを増す中、社長の赤松は闘い続ける。様々な人間模様。左遷。良心との葛藤。保身。遺された被害者の家族たち。マスコミ。警察。メインバンク内の動き。
上巻に引き続き、この下巻も、ぐいぐい引き込まれる。著者は銀行に勤めていたことがあるそうだが、この作品でもまちがいなくその経験が生きている。大企業と中小企業のそれぞれが事件に関連して資金繰りに苦しむ中で、それぞれが関係する銀行の関与が物語にリアル感と立体感を与えている。大変面白い。そして、秀逸な作品である。
文庫、448ページ、講談社、2009/9/15