密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標

著:マーク・ジェフリー

 

 データ分析に基づいたマーケティングを効果的に行うためにはどのようにすればいいのかを、数多くの事例および15の指標の詳細な解説とともに説明している本。15の指標とは以下のもので、財務的なものもあれば非財務的なものもある。

1.ブランド認知率
2.試乗(お試し)
3.解約(離反)率
4.顧客満足度
5.オファー応諾率
6.利益
7.正味現在価値(NPV)
8.内部収益率(IRR)
9.投資回収期間
10.顧客生涯価値(LTV)
11.クリック単価(CPC)
12.トランザクションコンバージョン率(TCR
13.広告費用対効果(ROAS)
14.直帰率
15.口コミ増幅係数(WOM)

 これらの指標は、マーケティング活動に合ったものを選択するのが重要で、「認知」「比較検討と評価」「トライアル」「ロイヤリティ」の4つで構成されるマーケティングサイクルの各段階に応じて効果的に使う。

ただ、15の指標はもちろん重要だが、まだ本格的にこのような活動ができていない企業に関しては、データ・ドリブン・マーケティングに取り組もうとする際に直面しがちな次の5つの壁をまずどのように越えるかが重要だと前半部分で述べられている。

1.どう始めていいかわからない
  →重要なデータに絞って早期に成果を上げることをめざしてみる
2.因果関係が不明
  →小さな実験からはじめる
3.データ不足
  →顧客データを集める戦略に知恵をしぼってみる
4.ITリソース、ツール、投資
  →大きく考え、小さく始め、スピーディに拡大することを目指す
5.組織と人
  →小さく始めて成功事例を見せて理解してもらう

第11章では、上位企業と下位企業の違いとして、著者が行ったリサーチに基づいた知見が述べられている。

結構分量があって、中身も濃く、かなり読みごたえがある。すべて実現するのは簡単ではないだろうが、内容自体は大変優れた本である。

 

単行本、380ページ、ダイヤモンド社、2017/4/20

 

データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標

データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標