著:フィリップ・コトラー、著:ヘルマワン・カルタジャヤ、著:イワン・セティアワン、監修:恩藏直人、翻訳:藤井清美
マーケティングの大家であるコトラーの本。顧客を単なる購買者としてみるのではなく、マインドとハートと精神に価値主導のマーケティングを行うことを主張した「マーケティング3.0」が大きな反響を呼び、内容もよかったので、こちらも買った。この本は、SNSをはじめとして、企業と顧客、あるいは顧客の中のインフルエンサーといった、オンラインとオフラインのつながりや交流や影響力を全面的に取り込んだマーケティングの在り方を論じたものになっている。
PAR(購買行動率)、BAR(ブランド推奨率)、コンバージョン率を上げるためのプロセスとそこから生じるロイヤリティ(吸引力・好奇心・コミットメント・親近感)。カスタマージャーニーの4種類の産業類型。サービス管理、ブランド管理、セールス管理、チャネル管理。デジタル人類学。
人間中心のブランドの6つの特性。コンテンツマーケティング。ビッグデータ分析とオムニチャネルマーケティングを通じたユーザ体験の最適化。デジタル時代のエンゲージメントマーケティング。
内容はとても良いし、わかりやすく、理論と具体性がバランスよくミックスされて、読み手に刺さってくる。さすがは、コトラー、という感じである。
ただ、新しさや斬新さという点ではどうだろうか。ここで語られていることは、もう既に珍しい内容ではない。スマホファーストなんてもうずいぶん前から当たり前で、むしろ、現在マーケティングの最先端で試行されていることと比較すると物足りなさを感じるくらいだ。
もちろん、この本の内容はマーケティング3.0とは違う。ただ、全体的には、本来そこでちゃんと書いておくべきだったSNSやO2Oといった視点を加えて見直した感じがかなりあり、したがってそれほど新しい内容ではない。あくまでも主観的な意見ではあるが、これは「マーケティング4.0」というよりも、むしろ「マーケティング3.5」と呼ぶ方がしっくりくるような気がする。
単行本、272ページ、朝日新聞出版、2017/8/21
コトラーのマーケティング4.0 [ フィリップ・コトラー ]
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