密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

図説 植物の不思議 ミクロの博物学

著:西永裕、写真:西永奨

 

 電子顕微鏡(SEM: Scanning Election Microscope)の第一人者であった西永奨(1955-2014)という人が撮影して着色しイギリスのScience Photo Libraryに収録されている約1800点の作品から、許可を得て故人の兄がセレクションして再編集したものをまとめた本である。

 単行本サイズだが、オールカラー。非常に美しく、目を奪われる。珪藻。フダンソウの発芽。花弁を取り去ったオダマキの雄しべと雌しべ。スギの花粉。エリカをはじめとする合弁花類。イラクサの毛状突起。ツバキの葉と葉脈。キイチゴの花粉。様々な植物の電子顕微鏡写真でとらえて着色した色鮮やかな写真が豊富に掲載されている。印刷の質は高い。

 

 英語になるが、西永奨氏の作品はScience Photo Libraryに収録されており、以下のサイトで見ることができる。本書にもそのURLが紹介されている。かつてこのような業績を残した日本人がいた、ということを忘れないようにするためにも、貴重な本であるように思う。

 

http://www.sciencephoto.com/search?subtype=contributors&searchstring=SNI

 

目次

第1章 植物の惑星(原生生物が酸素を排出)
第2章 花の進化論(花と生命の進化史)
第3章 花の図像学(花たちの生殖デザイン)
第4章 離弁花類(離れた花弁の花)
第5章 合弁花類(花弁が合わさった花たち)
第6章 花の器官(花たちの小宇宙)
第7章 花粉と受粉(2億5千万年の進化の記憶装置)
エピローグ 植物という恩寵

 

単行本、220ページ、秀和システム、2017/9/21

 

図説 植物の不思議 ミクロの博物学

図説 植物の不思議 ミクロの博物学