著:五十畑弘
日本の土木建築を中心に、イギリスのアイアンブリッジをはじめとする適時世界の土木遺産も紹介した本。オールカラーで、442ページ。かなりボリュームがある。解像度が粗いものが散見されるのが残念だが、写真も500枚以上あって、大変多い。以下のような構成になっている。
目次
第1章 運河、疏水
第2章 ダム、堰堤、河川構造物
第3章 ドック、港湾、防波堤
第4章 鉄道、駅、モノレール、LRT
第5章 コンクリート橋
第6章 石橋
第7章 鉄、鋼橋
第8章 木橋
第9章 可動橋
第10章 塔状構造物
第11章 まち並み
第12章 トンネル、土構造、その他
第13章 解説 土木遺産とは何か?
ひとくちに土木遺構といっても、多くの種類のものが取り上げられている。中には柏駅東口、町田駅、仙台駅、大宮駅西口、津田沼駅北口のペデストリアンデッキのように、20世紀終盤に作られて日常で普通に使われているものもあり、遺構というよりは普通の建築物ではないかと思われるものも含まれている。
また、全体的に橋が占める割合が多い。東京の永代橋、清洲橋のように現在も欠かせないインフラとしてたくさんの人に毎日利用されているものもたくさんある。一方、土木遺産といいながらトンネルは少ない。鎌倉時代のものとして、鎌倉の朝比奈切り落としと福岡の元寇防塁がある。ダムの中にも、直江兼続の築いた山形の直江石堤がある。太平洋戦争関連では、高知の掩体壕がある。
正直、選定基準がよくわからない感じもしないではないが、土木の専門家による本で、解説も一般向けではあるが専門家目線で適時きめ細かく書かれている。
単行本、442ページ、秀和システム、2017/10/25