密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込

著: 若林 正恭

 

 お笑いコンビ「オードリー」の突っ込み役(元は逆だったらしい)をしている人が雑誌に連載したエッセイを一冊にまとめた本。結果的に、数年がかりで書かれたものになっているので、後半の方では著者自身が自分が過去に書いた文章にツッコミを入れているという展開も生じている。

 本書のタイトルが示すように、人見知りとか自意識といったことが中心を占めているものが多い。文章は細かい言葉の使い方や表現をかなり選んだ形跡が感じられる上、各所でオチを入れてある。よって、爆笑というほどではないものの、時々、ふっと笑えてしまうようなものになっている。数はそれほど多くはないものの、印象的なエピソードが入っているし、相方の春日の対照的なところも面白い。

 それにしても、本書に出て来るT君は今頃どうしているのだろうか。ここに書かれている通りなら、結構すごい才能だ。このまま表舞台から消えるのはあまりにも惜しいような気がするのだが。

 

文庫、356ページ、KADOKAWA、2015/12/25