著:ジャック・ウェルチ、著:ジョン・A・バーン、著:宮本 喜一
「私は、製造業の規律とキャッシュフローを金融業の創造性と融合すれば、すばらしい事業が気づけるという考えに夢中になった」。
GEを復活させた経営者ジャック・ウェルチの自伝的経営論。上巻に続くこの下巻では、GEキャピタルの成功への道のりの物語から始まる。NBCの買収。拡大とグローバル化。品質活動。Eビジネスへの挑戦。その一方で、大規模な不正という難しい問題も立ちはだかる。さらに、後任選び。
特に、Eビジネスへの考え方はなかなか鋭い。全てを用意しなければならないドットコム企業と比べて、大企業はビジネスに必要な組織はあらかじめ全て持っているので、インターネット関連の開発費を追加してビジネスをそれに合わせるように変更するだけで済む。だから、モデルを理解して素早く動きさえすれば、大企業の方がEビジネスにおいても有利な立場にあり得られるものも大きいと断言する。
後半では、CEOに関するウェルチの哲学が語られる。誠実さ。健全で成功している企業であることが社会にもたらす利益。巨大組織を維持するために重要な企業哲。一に人材、二に戦略。形式主義の打破とアイディアが湧き出る組織の維持。自信を植え付けると同時に傲慢さは打ち砕く。情熱とチームワークの維持。
「CEOという仕事はとんでもなく素晴らしい」。
「ビジネスは楽しくなければならない」。
「私に本音と建前はない」。
とにかく、全編にわかって自信たっぷり。いかにもアメリカ的ではある。ただ、それだけの実績を成し遂げている。
日本的な経営哲学とは少し異なるところもあるが、だからこそグローバル化が加速する昨今のビジネス環境において、日本人が参考にすべき点があるように思われる。
文庫:426ページ、出版社: 日本経済新聞社、2005/4/29