著:トマス・J・スタンリー、著:ウィリアム・D・ダンコ、訳:斎藤 聖美
「うちの子供たちは、うちは貧乏なの?と、ときどき聞きます。ファストフード店で1ドル均一メニューの中から注文しなさいと私が言うからです」。
「私たちは倹約家です。こんなに長いアンケートに協力するのも1ドルくれるっていうからなんですよ」。
「私はスコッチかビールしか飲まんよ。ビールは2種類。バドワイザーかタダで飲めるヤツだけだ」。
「小さい頃、女の人が泣いているのを目撃したんです。庭の椅子に座ってね。泣いている間にその女の人が持っていたものは全部競売で持っていかれてしまった。その女の人のことは脳裏に焼きついています。一生忘れることはないでしょう」。
アメリカの億万長者で高級住宅街に住んだり高級車を乗り回しているのは、実は一部に過ぎないという。
お金持ちについて調査し、世間で誤解されているのとは異なるその実像と、私達がそこから学べることについて解説した本。
そして、そこから浮かび上がってくる、以下の7つの法則について、具体例を挙げながら順に説明している。
1.収入よりはるかに少ない支出で生活する
2.資産形成に時間とエネルギーを使う
3.世間体を気にしない
4.社会人になったら、親の経済援助を受けない
5.子供を経済的に自立させる
6.ビジネスチャンスをつかむ
7.時代に合った職業を選ぶ
金持ちの特徴を3つの言葉で表せば、「倹約、倹約、倹約」なのだそうだ。
幸運、遺産、高学歴、頭の良さは必須条件ではない。重要なのは、勤勉、我慢、計画性。経済的な自立にこだわり、自分を律して堅実に生活する。収入より支出をずっと小さくして、貯金をして投資し、着実に資産を形成する。そんな実態がくっきり見えてくる。
「奴らは事業を没収できるかもしれないが、頭脳は没収できんからな」。
「逆境は避けられない。人生には良いときもあれば悪いときもある。子供をかばおうと思っても無理だ。小さいときから障害を乗り越えて自分で道を切り開いてきた人だけが成功する。」
子供に対しても、お金は与えない。その代わりに与えるのは、教育だ。重要なのは、魚の取り方を教えることだから。
そして、一見意外に思えるが、お金持ちのほとんどは、「お金よりも大切なこと」があることをよく知っている。だからこそ、億万長者になっても浪費せず、金銭的な成功に溺れないで済んでいるという見方もできそうだ。
「経済的にしっかりした基盤を持とうと考えているなら、きっと実現できる。だが、よい暮らしをするためにお金が欲しいと思っているのなら、一生、金は貯まらない」。
自動車に多くのページが割いてあるのはアメリカらしいが、この部分は「車であなたの価値が決まるわけではない」の一言で十分かもしれない。
単行本、346ページ、早川書房、2013/8/23