著:路カズヤ
本書には、前半に大前研一の言葉として、次のようなものがあると紹介されてある。
「人間が変わる方法が3つしかない。1つ目は時間配分を変えること。2つ目は住む場所を変えること。3つ目は付き合う人を変えること。どれか1つだけ選ぶとしたら、時間配分を変えることが最も効果的だ」
時間を効果的に使うことの重要さ、そのための意識変革、目標及び優先度の整理の方法といったことを説明している本。
著者は自営のコンサル業を営みながら、成長企業の経営者や大企業のトップセールスに接していて、成功している人には次の3つの共通点があった、という。
- 1点集中で取り組んでいる
- とにかく始めている
- やり抜いている
第1章 時間に対する意識を変える
ステップ1 時間寿命を計算する
80歳を一つの目安に、自分の残り時間を計算してみる。睡眠や食事などの時間を引いて1日は15時間とする。30歳であれば、以下のようになる。
(80歳 – 30歳)x 365日 x 15時間 = 273,750時間
ステップ2 人生時給を計算する
現在の人生時給 = 現在の年収 ÷ 現在の年間労働時間
ステップ3 パッションを言語化する
「理想の人生を生きているとき、私は( )である」
上記の( )の中を具体的な表現で埋めてみる。10個挙げる。書くのは、自分の理想の人生を生きているときに、自分が「なっていること」「していること」「持っているもの」になる。例(家族といつも笑って過ごしている)。そして、この10個を優先順に並べて明確化する。
ステップ4 ミッションを言語化する
生き方に関する個人の信条がミッション。命の使い道。そのためには、以下の質問への答えを考える。
質問1 あなたの葬式で誰に来てもらい、どのような言葉をかけてもらいたいですか?
質問2 医者から余命1年を宣告されたとき、残りの1年を「誰と」「どのように」過ごしたいですか?
質問3 10億円の遺産が入ってきたら、そのお金を「誰のために」「どのように」使いますか?
そして、最後に、「私の使命は( )である」という文を作成する。
ステップ5 ビジョンを言語化する
My Vision (あなた自身の未来のイメージ)を書く
Our Vision(あなたが影響を及ぼす家庭・会社・社会の未来イメージ)を書く
「パッション」x「ミッション」x「ビジョン」 = アクション
ステップ6 主体的な仕事の目標に変換する
ジョブ・クラフティング(会社から課された目標を主体的な目標に変える)を行う。具体的には、以下のようにする。
(1)「仕事内容」「仕事の目標」をリストアップする。
(2)その中で、「パッション」「ミッション」「ビジョン」につながるものに☆印をつける
(3)☆がつかなかった「仕事内容」「仕事の目標」について、仕事の範囲をひろげたり、やり方を見直すことで「パッション」「ミッション」「ビジョン」につなげられないか考える
(4)あなたの「仕事内容」「仕事の目標」に意味づけを行い、主体的な表現に置き換える
例)「新規開拓営業」→「本当に価値のあるサービスとお客様をつなげて、お客様を成功させる仕事」
例)「月間売上目標500万円」→「多くのお客様から感謝されていることを証明する目標」
そして、最後に、目標達成コンパスシートを埋める
第2章 仕事ができる人の「年間スケジュールの組み方」
居心地の悪いところにしか成長はない。習慣化が自信を生み出し自信が習慣化を助ける。
- ルール1 目標は高く、達成期日は前倒しで設定する
- ルール2 戦略と戦術を考え抜く時間を確保する
- ルール3 8割の成果を生み出す2割の時間を確保する
- ルール4 1年間の予定を逆算して組む
- ルール5 定例業務・恒例行事のスケジュールを確保する
- ルール6 心技体を磨く時間を確保する
第3章 効率が良くなる「1日のスケジュールの組み方」
第4章 忙しいから開放される時間の使い方
自分がどのようなことに時間を使っているか列挙し、それを以下の4つの領域にマップし、それぞれの時間についても記入する。
- 第1領域 Must Task(緊急かつ重要なもの)
- 第2領域 Valuable Task(緊急ではないが重要なもの)
- 第3領域 Should Task(緊急だが重要でないもの)
- 第4領域 Worthless Task(緊急でも重要でもないもの)
実は、この第2領域に時間を投資することが、「最高の時間の使い方」といえる。そのために、ビジネスとプライベートそれぞれで「第1領域」「第2領域」に集中できるように時間の配分を見直す。
第5章 時間の投資先を決める
ステップ1 「目的」「目標」「戦略」「戦術」の違いを理解する
ステップ2 「目標達成シナリオ」を描く
ステップ3 8つの「戦略」を描く
ステップ4 64の戦術を描き、10に絞る
ステップ5 周囲に公言する
ステップ6 PDSAサイクルを急速で回す
第6章 信頼性を磨くことこそが究極の時間術
- 継続性 = 情熱 x 使命感
- 戦略性 = 計画力 x 実行力
- 信頼性 = 人格 x 能力
さらに、
- 人格 = 誠実さ x 意図、
- 能力 = 力量 x 結果
分かりやすく書かれている。読むだけでなく、自分でワークショップ的に手を動かして書いてみるとよい。
単行本、230ページ、明日香出版社、2017/12/8