著:まがい まさこ
カラーで、図解や絵が多く、特に前提知識も不要。とてもやさしく書かれた資産運用の本である。
実は、最初は、「ああ、こんなレベルの本か」と、手に取ってすぐ戻そうと思った。しかし、ぱらぱらめくって、最後の「資産運用NG集」というのが目に入り、これがちょっと面白かったので、取り上げることにした。
この「資産運用NG集」には以下のものが取り上げられており、常識的で書きぶりも丁寧だが、結構はっきりとダメだししてある。
- 売れ筋ランキングのファンド → “売れ筋”ではなく、”売り筋”のファンド
- テーマ型ファンド → たいていのテーマは長続きしない
- 損失限定型・元本確定ファンド → 「たくさん食べたい、でも太りたくない」というのと同じで、実際はお得な商品ではない
- ファンドラップ → コスト高
- 定期預金との抱き合わせ商品 → 手数料稼ぎのセット商品
- FX(外国為替証拠金取引) → FXでは資産形成はできない
- ビットコイン(仮想通貨) → 実体のないものへの投資でFX以上にギャンブル
- 外貨建て保険 → 複雑なパッケージ商品でコスト高
- マンション投資 → 不動産が好きで物件選びや資産計画に手間暇惜しまず積極的に賃貸経営をする人ならうまくいくかもしれない
- クラウドファンディング → 夢や社会貢献で出資するもの
この最後の章を読んでから、最初から読み直すと、ごく初歩的な本でありながら、なかなかしっかりと書かれていることに気づいた。
「肉食系投資は資産つくりに向かない」「大きな儲けは狙わない草食系がよい」という方針を前面に出しながら、インデックスファンドのような手数料の低い投資信託と、NISAとiDECOのような制度を利用しながら、余裕資金を作って堅実な資産運用を目指す。年齢に応じて方針を立てて目的別に長期運用を行う。読みながら、平均的な社会人のリスク資産の運用は、実はこれで十分かもしれない、と思った。
単行本、160ページ、ナツメ社、2018/12/13