著:唐澤貴洋
インターネット上での炎上について書かれた本。著者は自身も炎上して殺害予告を受けた経験をもつ弁護士。過去の炎上事件や、実際に炎上した経験のある人たちとの対談も載っている。
炎上の原因は様々である。殺人犯に仕立て上げられたスマイリーキクチ氏には同情を禁じ得ない。一方、「くら寿司」のバイトがネタをゴミ箱に入れてから取り出してまな板の上に載せたバイトテロによる炎上もある。
著者は、炎上しないようにするために、さらには、炎上してしまったときのためのことを、以下のようにまとめている。
1.炎上しないために
- 表現に気をつける、想像力をもって投稿する
- 貧富の格差、政治的な発言、世代論、性差などのテーマの投稿には細心の注意が必要
- なぜそう思ったのか理由を書く
- 一度出した情報は簡単に消せないので、誰が受け取るか注意する
- 投稿するまでに間を空ける
- 投稿する前に実際に周りの人に見せてみる
2.炎上したら
- 次の炎上の燃料となるネタを与えない
- 時間が経過するのを待つ
- きちんと証拠をそろえて警察に相談する
- インターネットの人権に詳しい弁護士に相談する
- 一般人の場合は、反論せずアカウントを削除し、学校や勤務先が巻き込まれる場合があるので連絡する
- 企業の場合は、迅速かつ誠実に対応する
- 有名人の場合、不法行為やマナー違反であれば、記事を削除して潔く謝罪する
3.戦う場合
- 損害賠償請求の場合、個人への少数の投稿なら慰謝料で認められるのは数十万円程度
- 刑事告訴にする場合、まず、証拠を整えて警察に通うこと
- プロバイダーへの個人情報開示は裁判所の判決を受けてからになる
- 個人ではなく、多くの人の理解と協力を得て行うこと
特に、ツイッターは切り取られた短文であるため、過激で不快な印象をダイレクトに与えやすい。おまとめサイトへの批判や広告企業への批判などについては、人によって意見が分かれるところかもしれない。
単行本、208ページ、カンゼン、2019/5/17