密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

Google, Amazon, Facebook, Apple, Uber, 他。 「プラットフォーマー 勝者の法則 コミュニティとネットワークの力を爆発させる方法」

著:ロール・クレア・レイエ、ブノワ・レイエ、翻訳:根来 龍之、門脇 弘典

 

「ウーバーは世界最大のタクシー会社だが、クルマを一台も所有していない。フェイスブックは世界一の人気メディアだが、コンテンツをまったく生み出さない。アリババは世界一の流通企業だが、在庫をまったく持たない。エアビーアンドビーは世界最大の宿泊提供者だが、不動産を所有していない。それは、とても興味深い現象だ」。

 

 Google, Amazon, Facebook, Apple, Uber, Airbnb WhatsAppなど、世界をプラットフォーマーと呼ばれる会社が席巻している。これらの会社が提供するプラットフォームは、コミュニティのメンバー同士をつなげ、コミュニティの力で取引を発生させている。

 ポイントとなるのは、ホストとゲストの参入のしやすさ、両者の効果的なマッチング、誰にとっても安全で簡単な取引である。コミュニティの力でプラットフォームは強大になり、既存企業にとって脅威となる。このように、プラットフォーマーと呼ばれる業態は、ビジネスモデルと価値創造に大転換をもたらしている。

 

 プラットフォームは5つの機能を持つ。それは、誘致、仲介、交渉、取引、最適化である。

 

 ただ、ひと口にプラットフォーマーといっても、第三者にオープンなものもあれば、クローズドなものもあるし、消費者と生産者への価値分配が直接的なものもあれば間接的なものもあるし、多種多様な商品を提供するものもあれば、均質なサービスや製品で行われているものもある。このため、事業構造や企業統治のあり方は異なる。古くからあるものとしてはクレジットカードのビジネスはプラットフォーマーといえる。

 

 本書では、プラットフォーマーを支えている重要な経済原理として、次のようなものが挙げられている。

  • 外部性:それぞれ外部性を持つ参加者が増えることでプラットフォームの価値が高まる
  • 需要サイドと供給サイドの規模の経済:需要サイドにもたらされる価値がユーザ数増加で高まる
  • ネットワーク効果:参加者が増えると指数関数的に増える。開発者が増えても価値が上がる
  • クリティカルマス:ネットワークの成長が自立的に高まる
  • ティッピングポイント:クリティカルマスをおこす閾値
  • シングルホーミングとマルチホーミング:複数のプラットフォームにつながることで価値が高まる
  • 価格弾力性:価格の変化が需要にもたらす影響度
  • 代替財と補完財:一方の価格が上がると代替品の需要が増える(代替)。iPhoneの需要が落ち込めばAppStoreの方にも影響がある(補完)。

 

 Google, Amazonなど各社のエコシステムについての分析と解説も行われている。AirbnbはITコストの7割を分析と機械学習に投資しているそうだ。そのうえで著者は、プラットフォーマーになるためのプロセスとして、「ロケットモデル」というものを提唱し、それぞれのプロセスについて説明している。「ロケットモデルとは」以下の図のようなものである。

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 プラットフォーマーは、信頼性も重要なカギになる。世界を回しているのは、お金ではなく信頼だからだ。参加者のプラットフォームへの信頼も重要だが、参加者同士の信頼性を育てる仕組みも大切になってくる。お互いを信頼する前に、アイディアを信頼することも必要になってくる。信頼とは不変ではなく、体験の積み重ねやプラットフォームとの相互作用によって徐々に成長する。信頼指数(TQ)という方程式も載っている。

 

TQ = (C + R + I) / S

  • C(Credibility): 信用性
  • R(Reliability): 信憑性
  • I(Intimacy): 親密性
  • S(Self-orientation): 利己性(利己性が増すと減衰するので分母にくる)

 

 優れたプラットフォームは、コミュニティを構築する。そのためには、参加者同士の相互作用がカギになる。コミュニティはプラットフォームの価値そのものなので、うまく統制することも大切である。

 プラットフォームはときに規制に直面する。Googleは恣意的に検索結果をコントロールしているのではないかという批判を受けたことがある。規制がイノベーションの障害になっている場合は、その規制の背景になっている懸念について考えて解決することが規制緩のあしがかりになることがある。自動車が登場したとき、1910年に政府は馬車よりも早い速度で走ることを禁止したことがあった。

 

 プラットフォーマーの台頭に対して、既存業者はどのようにすべきだろうか。望ましいのは、否認や中傷ではなく、「5E」だという。それは、以下のようなものだ。

  • 受容する(Embracing)
  • 提携する(Enabling)
  • 強化する(Enhancing)
  • 動員する(Encounting)
  • 収益化する(Earning)

 既存プレーヤーはもともと持っている強みを生かしながら、組織文化をシフトする必要がある。

 

 プラットフォーマーの台頭によって盛んになってきたビジネスモデルに、シェアリングエコノミーがある。それは、以下のように5つに大別される。

  • 物品のシェア
  • 知識のシェア
  • 資金のシェア
  • 時間やサービスのシェア
  • コンテンツのシェア

 

 プラットフォームビジネスは進化を遂げている。多くの企業がプラットフォームモデルの特徴や能力を自社に取り入れようとする。自動車分野に代表されるように、モノのプラットフォーム化も進んでいる。マッチングアルゴリズムや通信技術も進歩している。社会的な問題解決の糸口となる共感的なつながりを創造する手段としても有効である。

 

 我々の生活はいつの間にかインターネットなしにはありえなくなり、生活やコミュニケーションのかなりをプラットフォーマーに依存するようになっている。肌感覚でわたしたちが実感していることを、ビジネス上の視点からきちんと整理してわかりやすく整理してあり、とても興味深く読めた。 

 

単行本、368ページ、日本経済新聞出版社、2019/3/21

プラットフォーマー 勝者の法則 コミュニティとネットワークの力を爆発させる方法

プラットフォーマー 勝者の法則 コミュニティとネットワークの力を爆発させる方法

  • 作者: ロール・クレア・レイエ,ブノワ・レイエ,根来龍之,門脇弘典
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2019/03/21
  • メディア: 単行本