密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

図解入門業界研究 最新不動産業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]

著:磯村 幸一郎

 

 個別業界や分野について、一般向けに解説したシリーズの中の一冊。不動産分野に特化しており、これは第3版。テーマ別に見開きのページでまとめられており、図解を多用し、

 

 不動産業は国内総資産の11%を占め、不動産は国民総資産の16%を占めている。ただ、ひとくちに不動産といっても、分野は大きく分けて以下の5つがあり、それぞれについて、どのような業務なのか、どういう特性と傾向があるのか、説明が行われている。

  • 不動産開発(都市開発・都市再生)
  • 賃貸
  • 不動産管理
  • 分譲
  • 流通(仲介)

 

 バブル期に活況をきわめたリゾート開発は冷え込みが続いている。分譲では戸建てがマンションを6年連続で上回っている。不動産管理の仕事は所有と経営が分離し、プロパティマネージメント業務が重要になってきている。

 

 不動産に大きな変化をもたらしたのが、不動産ファンドビジネス。証券化はキャッシュフローが生み出せる資産であればなんでも可能だが、世の中の証券化には、大きく分けて社債やCPのような企業金融(コーポレートファイナンス)の証券化と資産金融(アセットファイナンス)の証券化がある。

 不動産の証券化は典型的な資産金融である。ファイナンスの対象は企業ではなく、資産そのものである。ちなみに、資産流動化は不動産証券化も含むより上位の概念である。

 

 不動産証券化にはいろいろなプレーヤーや商品が登場する。SPC(特定目的会社)、ABS(資産担保証券)、MBS(住宅モーゲージ担保証券)、CMO(モーゲージ担保債務証書)、CMBS(商業用モーゲージ担保証券)、REIT(不動産投資信託)。

 また、不動産証券化商品は根拠法によっていくつかに分かれる。投信法に基づく商品(J-REIT)、不動産特定共同事業法、会社法に基づく商品、民法に基づく商品、資産流動化法による商品の大きく4種類である。

 

 不動産業は全体的には給与水準は平均以上だが、休日に働くことが多いこともあり労働時間は長めである。大手不動産会社が業績を伸ばす一方で、中小の業者も多い。三井不動産、三菱地所、住友不動産といった大手については個別に解説が行われている。

 

 地価の種類、重要事項説明書、建ぺい率と容積率、法改正の動向、税金、宅地建物取引士などの資格、将来見通しについても書かれている。

 

単行本、255ページ、秀和システム、第3版、2018/11/1

図解入門業界研究 最新不動産業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]

図解入門業界研究 最新不動産業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]

  • 作者: 磯村幸一郎
  • 出版社/メーカー: 秀和システム
  • 発売日: 2018/11/01
  • メディア: 単行本