密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

1日仕事をして疲れたサラリーマンが、帰りの電車の赤で頭を使わずに読んでもらえる文章。『時事漫才 爆笑問題の日本原論』

著:爆笑問題

 

 爆笑問題が、時事問題を笑い飛ばすネタにした本。太田と田中が実際にしゃべっているかのように脚本形式で書かれている。もっとも、読んでもらうということを意識しており、ライブと比べると微調整をしてあるとのことだ。

 

 2015年から2018年前半のニュースが取り上げられている。大塚家具の内紛。上西小百合議員や武藤貴也議員の問題。大阪府構想の是非を問う住民投票。東京オリンピックのエンブレム問題と新国立競技場問題。ブラックバイト。ベッキーとゲスの極み。北朝鮮の水爆実験。舛添都知事。イギリスのEU離脱の国民投票。リオオリンピックと平昌オリンピック。築地の豊洲移転問題。トランプ米大統領の誕生。『君の名は。』と聖地巡礼。藤井聡太四段の快進撃。大相撲の暴力問題、レスリングのパワハラ問題、日大アメフト部の悪質タックル。金正恩総書記とトランプ大統領の会談。

 

 文章なので、ライブのような話し方とか間合いとか生の雰囲気とかそういったものはもちろんあるわけではない。ただ、「次から次へと問題が出てきたな。籠池、加計孝太郎理事長、昭恵夫人で『三本の矢』って言われているからな」というような表現がポンポン出てきて、小気味がいい。

 

 太田光は、かつて雑誌の連載をしていたときの編集者から、「もっと無駄を省いて、誰にでもわかりやすい文章にしてほしい」「1日仕事をして疲れたサラリーマンが、帰りの電車の中で頭を使わずに読んでもらえる文章です」というアドバイスを受けたという。今でもその助言を胸に、一人の疲れたサラリーマンがいて、そのサラリーマンを笑わせるイメージで書いているのだという。肩ひじ張らずに楽しめた。

 

単行本、240ページ、太田出版、2018/9/5

時事漫才 爆笑問題の日本原論

時事漫才 爆笑問題の日本原論

  • 作者: 爆笑問題
  • 出版社/メーカー: 太田出版
  • 発売日: 2018/09/05
  • メディア: 単行本