密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

イラスト図解 スマート工場のしくみ IoT、AI、RPAで変わるモノづくり

著&編集:川上 正伸、竹内 芳久、新堀 克美、松林 光男

 

 結論から書くなら、この本は、タイトルから期待される内容とは少し違う。確かに、後半では、IoT, AI, RPAが出てくるが、全体に占める割合は多くない。

 

 むしろこの本の良いところは、今までの工場の生産・在庫・設計・物流という業務の効率化のポイントを、以下のようなものの説明を交えながら、図解付きで平易にまとめてあるところにある。

 

  • BOM: Bill Of Material(部品表)
  • ERP: Enterprise Resource Management(経営資源計画)
  • VMI: Vender Managed Inventory(取引先管理在庫)
  • MRP: Material Requirement Planning(資材所要計画)
  • MES: Manufacturing Execution System(製造実行システム)
  • SCP: Supply Chain Planning(SCM計画システム)
  • EC: Electric Commerce(電子商取引)
  • APS: Advanced Planning and Schedule(先進的生産計画&製造スケジューリング)

 

 ヨーロッパの有害物質規制であるRoHAS指令(電気電子機器業界中心)、REACH規制(ほぼすべての産業界)、ELV(自動車向け)、HACCP(食品衛生規制)について簡単に説明している箇所もある。

 

 RPAに関しては、Digital Laborの概念を中心に、Stage別の説明がコンパクトにされている。本書には書かれていないが、Stage4になると人間と同等、Stage5になると人間を超えるという説明がなされることがある。

 

  • Digital Labor Stage1: 人が行っているルーティンワークの実行。  
  • Digital Labor Stage2: Stage1の単純作業に加え、機械学習を用いた認識技術を使い、手書き文字など非構造化データに対して従来人間が判断して行っていた職務を実行する。
  • Digital Labor Stage3:例外対応や意思決定を含めた業務プロセス全体の合理化。

 

 著者陣は製造業での経験が豊富なようであり、行間ににじむ知見ふくめ、今までの製造現場の技術の変化についてはよくまとめられている。ただ、IoTやAIという点でいくと、質量ともに、物足りなさを感じる。

 

単行本、192ページ、日本実業出版社、2018/8/30

イラスト図解 スマート工場のしくみ IoT、AI、RPAで変わるモノづくり

イラスト図解 スマート工場のしくみ IoT、AI、RPAで変わるモノづくり

  • 作者: 川上正伸,竹内芳久,新堀克美,松林光男
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2018/08/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)