密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

日本の土: 地質学が明かす黒土と縄文文化

著:山野井 徹

 

 日本の土の特徴について解説している、大変読みごたえのある本である。日本はプレート活動及び火山活動が活発な位置にあるため地質構造の変化が頻繁である。赤玉土や鹿沼土は火山灰。しかし、関東ローム層が火山灰というのは誤解で、クロボク土ともども「風成層」として考えるべき。また、わが国を代表する褐色森林土は風成層による堆積母材によって形成されている。

 わが国に粘土質が多い理由。有機物の分解と無機物の残留。表土と地質累重の法則。風送塵と表土。表土と年代層。第4紀の始まりが259万年前に変更された理由と黄土。日本の各地域の風成層の成り立ち。ネオエロージョン。頻発してきた地すべりや山腹崩壊と修復相。

 本書のメインディッシュになっているのは、わが国に広がるクロボク土の正体の解明である。これらは微粒炭であり、結論としては、縄文時代に縄文人が野焼きや山焼きを習慣としていた跡であるというものだ。

 元々縄文時代には中期以降において焼畑が行われていたという説が有力だが、本書でもわざわざ断りを入れてあるように、著者の説は焼畑説とは違う。クロボク土の主体はあくまでも草本であって森林の燃焼ではなく、草原の再生によって生活の場所を確保してわらびやぜんまいなどが育ちやすくするようにしていたというものである。

 縄文土器の独特の模様はわらびやぜんまいの形からヒントを得ているのではないかと見立てている箇所もある。

 

 一見、「え?」と思ったが、地質学的には大変見事な説明だと思うし、極めて説得力のある説に思われた。大変面白く読めた。他の考古学的な証拠の裏付けが今後もっと増えていくことを期待したい。

 

単行本、249ページ、築地書館、2015/2/27

日本の土: 地質学が明かす黒土と縄文文化

日本の土: 地質学が明かす黒土と縄文文化

  • 作者: 山野井徹
  • 出版社/メーカー: 築地書館
  • 発売日: 2015/02/27
  • メディア: 単行本