著:リチャード・ガーベイ=ウィリアムズ、編集:ナショナル ジオグラフィック、訳;関 利枝子、武田 正紀
主に構図を中心に写真を撮るときのテクニックについて解説した本。著者は野生動物や風景写真を得意とする写真家。風景写真を中心に多くの具体例が載っている。印刷がよくオールカラー(白黒作品は除く)で、やや大きめのサイズ。
理念的な説明が多いが、主張は明快で、ロジカルに要点が整理されてある。著者によると、優れた写真に必要なものは以下の4点になるという。
・インパクトのある被写体
・ダイナミックな構図
・効果的な光
・感情的な反応を引き起こす力
心理学的な側面から「ゲシュタルト理論」と特にその中の「プレグナンツの法則」について触れ、そこから「図と地」「類似」「近接」「開合」「連続」「対称性」の6つの要因と、「連続性」「恒常性」「過去経験の法則」「出現」「具象化」「多重安定性」の6つの現象について紹介している。
その上で、構図、デザイン、色調について各章で解説し、理論を実践するためのテクニックについて述べられている。後半では、撮影時のチェックリストとして以下の4つのポイントが示されている。
・ビジョン
・目の前の光景をよく見て探求する
・技術的なチェック
・バリエーションとタイミング
最後に、芸術としての写真というテーマについて、著者なりの考えが披露されている。全体的には、構図が中心となっている本ではあるものの、構図はあくまでも伝えたいことを伝えるための手段であると説いている点が印象に残った。
単行本、184ページ、日経ナショナルジオグラフィック社、2017/3/16