著:鳥賀陽 弘道
1998年と2016年を比較すると、日本のCDをはじめとするオーディオレコードの売り上げは6075億円→1777億円に激減した一方で、コンサートの売上は710億円→3100億円に激増したという。2016年の優良音楽配信は528億円。
また、著作権料でみると、通信カラオケが1.4倍伸びていて、意外なところではパチンコ関連での伸びが大きい。海外向けはアニメの劇中音楽がトップ5を占めている。
このように音楽に関する様々な環境の変化を説明した本。日本のライブハウスの実態。野外コンサート。音楽イベントと地域おこしの持ちつ持たれつの関係。高齢化とカラオケの意外な関係。インターネットの影響の大きさ。DAWによって楽器ができなくても音楽を作れるようになったこと。一部でみられるアナログへの回帰。
かつてはTV番組のテーマソングとタイアップして曲が売れたり、HMVなどのお店の目利き役が重要な役割を担っていたこともあったが、今は様子が変わり、YouTubeで素人でも手軽に音楽を世に送ることができるようになったこと、などが述べられている。
言われてみればそうだな、ということが多い。それが当たり前になってもう慣れてしまっているだけのことで。ただ、けしてJポップが死んだわけではない。その辺は著者も最初の部分で一応断わりを入れているが、であればこのような「妙な誤解」を招くタイトルをつけるのはそもそもおかしい。少なくとも、良心的なやり方とは言えない。自らの経験と関係者の取材も交えて書かれあって、中身は悪くないだけに、残念である。
新書、229ページ、扶桑社、2017/9/2