密林の図書室

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日本は世界最大の輸入国。「トウモロコシの歴史 」(「食」の図書館)

著:マイケル・オーウェン・ジョーンズ、訳:元村 まゆ

 

 多くの日本人はそのような意識をあまり持っていないかもしれないが、トウモロコシはわが国の食糧事情に決定的に重要な植物である。直接人が食べる分は少ないもののわが国の家畜の飼料の多くはトウモロコシに頼っており、本書にもあるように日本は世界最大のトウモロコシ輸入国なのである。

 

 トウモロコシの本。トマトやカボチャなどと同じく、この植物はコロンブスの発見以降、新大陸から世界にもたらされた。栽培が簡単で、収量が多く、小麦やコメの生育には向かない土地でも繁殖し、手間もかからず、生育期間も短い。多量の脂肪、当分、炭水化物を含み、栄養価が高い。つぶして伸ばしたり、加熱してそのまま食べたり、大豆や肉類と一緒に料理したりと、加工が簡単で調理方法も多彩である。

 南北アメリカの原住民たちは、長い間この植物を重用してきた。新大陸から持ち出されてから、短期間で世界に広がり、様々な調理方法が生み出されたのは不思議なことではない。

 

 トウモロコシは主に外見とでんぷん構造の違いから、デント、フリント、フラワー、スイート、ワキシー、ポップの大きく6種類に分類できる。

 アメリカのコーンベルトで栽培される種の95%を占めるというデントコーンはほとんどが家畜の飼料になる。中南米と南ヨーロッパで栽培されているフリントコーンは古代アステカでも栽培されていたもっとも古い種である。スイートコーンは糖質の含有量が高く、まだ熟していない時期に採って、軸付きトウモロコシとして食べたり缶詰や冷凍食品になる。ワキシーコーンは工業製品の原料としてよく使われている。ポップコーンは間接するとでんぷんに含まれている水分が一気に蒸気となって破裂する。

 

 

 トウモロコシは、遺伝子組み換えの対象として積極的に利用されてきた。今や、アメリカで栽培されるトウモロコシの90%以上が遺伝子組み換え(GM作物)である。しかし、安全性への不安から、多くの批判も浴びてきた。また、耐性を持った病害虫が登場するという問題も生じている。GM作物を推進する側は、農薬や化学肥料の利用を抑制することができるとしている。

 トウモロコシは、エタノールの原料としても利用され、クルマのガソリンに混ぜられているが、これもまた議論を呼んできた。大規模に単一栽培を繰り返してきたことから、農薬や化学肥料漬けになっているという批判もある。

 

 トウモロコシは祭りやアートにも登場する。お菓子にも使われている。高級食材として愛されるということはなく、むしろその逆だが、貧しい国では安価に購入できる主食として、先進国では家畜を支えるエサとして、驚くほど様々な工業製品として、欠かせない植物になっている。

 

単行本、180ページ、原書房、2018/7/20

トウモロコシの歴史 (「食」の図書館)

トウモロコシの歴史 (「食」の図書館)

  • 作者: マイケル・オーウェン・ジョーンズ,元村まゆ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2018/07/20
  • メディア: 単行本