密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

鉄道ふしぎ探検隊

著:河尻 定

 

 鉄道と周辺地域に関するトリビア的なネタを集めて解説したもの。「日経電子版」で連載したものを一冊にまとめたものらしい。

 

 東海道新幹線はかつての「弾丸列車計画」をベースにしたもの。東北新幹線は当初は東海道新幹線と接続する予定だった。品川駅は発着容量と車両基地に直結していないので新幹線の発着駅にできない。

 東京駅の北陸新幹線の乗り入れでホームが不足したことで中央線のホームは高所に移動した。地下には国賓が通るための通路がある。京葉線は成田新幹線計画の名残。

 

 北陸新幹線は4つの電力会社の管轄を通り、周波数が3回変わる。役所や団体によって変わる関東・東日本の地域分け。町田駅はかつて神奈川県だった。東京都には境界未確定地域が3か所ある。

 

 富士山の5合目まで登山鉄道を作る話がもちあがっているが、かつて東急は、頂上まで地下ケーブルカーを敷く計画を立てていた。井の頭線を吉祥寺から西武池袋線に接続させる計画があった。

 かつて、「東京スタディアム」という6万人収容規模の野球場があり、新線の計画もあった。西武鉄道には幻に終わった奥多摩開発計画があった。秩父ファミリーパークもひっそりと閉園した。

 

 夢の島を飛行場にする計画があった。晴海や豊洲に貨物鉄道があった。1940年の幻の東京五輪に関して、渋谷と成城間に鉄道を作る計画があった。同じ年に札幌で冬季五輪もやる予定だった。また、晴海と豊洲で万博が行われる予定だった。

 

 新宿駅は角筈という町名だった。大塚は反対運動によって西巣鴨にできた。山手線の英式な呼び名は「やまのてせん」。新橋―横浜で鉄道が開通する4か月前に品川―横浜間が仮開業している。

 東武も西武も当初は池袋をターミナルにするつもりはなかった。西に東武ができたのはもともと群馬方面へ延伸させる計画があったから。西武は東武の入っていない東側に駅を作ったので「東は西武で西東武」になった。

 二子多摩川園は、一時、読売遊園だった。京王多摩川駅には、東京の宝塚を目指した「京王閣」があり、歌劇学校もあった。向ケ丘遊園は当初は無料で、園内に俳優学校もあった。

 

 東京近郊のネタが中心で、境界の話など直接鉄道と関係のない話も少なくないが、気晴らしに読むにはちょうどいい。

 

新書、256ページ、日本経済新聞出版社、2018/2/9

鉄道ふしぎ探検隊 (日経プレミアシリーズ)

鉄道ふしぎ探検隊 (日経プレミアシリーズ)

  • 作者: 河尻定
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2018/02/09
  • メディア: 新書