著:太田 牛一
太田牛一の「信長公記」の写本版です。中古商品で買いました。約400年の時を超え、こうやって文庫で読めるのは大変ありがたいです。
古い文章なので、いきなりだと現代人には読みにくいですが、現代語訳も出ているのでそちらの助けも借りで両方を突き合わせながら併読しました。
もちろん、信長礼賛のコメントは頻繁に登場しますが、牛一の記述は簡潔で、行間から現代とは異なる戦国時代の息遣いがダイナミックに伝わってきます。
織田信長について書かれた一般書籍は数え切れないほどありますが、オリジナルをたどると質量ともに十分な内容の原典資料は限られます。その中で、この「信長公記」は、牛一が信長の直臣の一人だったことに加え、真摯な執筆姿勢を貫いて書かれているため、信長についてもっとも重要で信頼性の高い極めて貴重な資料になっています。
歴史はロマンをかきたてますが、当時に書かれたものを一度読んでおくことでまた新たな感慨や見識が生まれます。信長や戦国時代に関心のある人は、ぜひ手元に置いておくことをお勧めします。また、やはり昔の言葉は難しいので、現代語訳も併読すればよいでしょう。
文庫、565ページ、角川書店、1984/07