密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

健康で長生きするための4つのポイント。『NHKきょうの健康 「筋肉」「骨」「歯」「認知症」の最新対策 (生活シリーズ)』

編集:NHK「きょうの健康」番組制作班、主婦と生活社ライフ・プラス編集部

 

 老化を完全に防ぐことはできないが、病気の早期発見・早期治療に努めると同時に、体の衰えを防ぐことで、健康な状態で長く生活することは可能だという。ではどうすればそれが可能なのか。そのためのポイントとして、適切な筋肉量の維持、骨の状態、歯の健康、認知症対策の4つを上げて解説した本。NHKの「きょうの健康」が元になっており、関連番組に出演した5人の医師の協力で書かれた本である。絵を多用し、わかりやすく書かれている。

 加齢と筋肉量は密接な関係がある。筋肉量は20歳代をピークに減少する。そこに栄養不足や生活習慣病が加わると、筋肉量の減少幅が大きくなることがわかっている。また、下半身ほど筋肉量の減少幅は大きく、歩くのが早い人のほうが10年後の生存率が高いという。筋肉量の低下によって生じる身体機能低下はサルコペニアという。サルコペニアを回避するためには、ウォーキングと筋トレ、それに動物性たんぱく質をしっかりとること。近年、ビタミンDが筋肉の増強にも関係することがわかってきており、ビタミンDを含む食品をしっかり摂ることも重要。

 骨の強度は、骨密度と骨質が関係する。骨は日々古い細胞から新しい細胞に入れ替わっている。このプロセスに骨形成のプロセスのスピードが追い付かなくなると、骨密度低下が生じ、骨粗鬆症になる。そして、骨折リスクが高まる。骨粗鬆症になったら、薬物治療を行う。日々の食事では、カルシウムだけでなく、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質も十分にとることが重要。骨に負荷をかけることで、骨密度をアップすると同時に、筋力もアップさせて転倒しにくい体にするように気をつける。

認知症は進行すると運動機能の低下ももたらす。認知症は生活習慣病と深くかかわっていることも明らかになってきた。したがって、バランスの良い食事や運動は認知症予防にも有効。また、積極的に人と交流することで脳が活性化される。ちなみに、米国では60歳以上で認知症になる割合が過去30年間で減少しており、特に高校卒業以上の教育を受けた人にその傾向がはっきりみられるという。

歯の健康も重要。歯周病は歯を失うひどい病気であるが、近年はさらに、歯周病が脳血管疾患・心血管疾患・関節リウマチ・糖尿病など様々な病気と関連があるといわれるようになった。予防あるいは深刻化を防ぐためにはプラークコントロールが重要である。また、近年は高齢でも歯がたくさん残っている人が増えたことで、高齢者の虫歯も増えている。歯磨きが習慣化しても、きちんと磨けていないので虫歯が進行するケースも多い。このため、正しい磨き方の実践や、デンタルフロス・歯間ブラシの使用も適時行った方がよい。

歳をとると何もしなくても健康ということはなくなってくる。面倒かもしれないが、食事や運動をはじめ様々な良い習慣を身に着けることで、加齢によってもたらされる身体の衰えに対抗してゆくしかないな、と思った。

 

大型本、95ページ、主婦と生活社、2016/9/29

NHKきょうの健康 「筋肉」「骨」「歯」「認知症」の最新対策 (生活シリーズ)

NHKきょうの健康 「筋肉」「骨」「歯」「認知症」の最新対策 (生活シリーズ)

  • 作者: 「きょうの健康」番組制作班,主婦と生活社ライフ・プラス編集部
  • 出版社/メーカー: 主婦と生活社
  • 発売日: 2016/09/29
  • メディア: 大型本
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