密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考えており、このブログを立ち上げました。日々読んできた本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

クレイトン・クリステンセンの歴史的名著。「イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」

著:クレイトン・クリステンセン、監修:玉田 俊平太、訳:伊豆原 弓


 あまりに有名な本である。本書の特徴は、イノベーションを、「継続的イノベーション」「破壊的イノベーション」の2種類に分類して解説を試みている点である。

 前者は、従来の製品の性能及び技術を高めるためのものであるのに対して、後者は従来にない新しい市場を創造する革新的なイノベーションである。

 

「成功する事業と失敗する事業の最大の違いは、一般に、当初の計画の正確さではない。最初から正しい戦略を立てることは、新しい事業計画を立てて二度、三度と試行錯誤できるように十分な資源を残しておくことに比べれば、さほど成功のために重要な要素ではない。試行錯誤を繰り返して適切な戦略を見つける前に資源や信頼を失った場合は、事業として失敗である」。

 
 「破壊的イノベーション」は、マーケット自体がまだ存在していないのであるから、調査によって顧客の声に耳を傾けるといったマーケティングの基本的な手法や、手堅い企業経営の公式が通用しない。

 しかも、当初の市場も小さく、大企業のコスト構造や組織とは馴染まないことも多い。著者は、「実績ある企業の成功のカギとなる意思決定プロセスと資源配分プロセスこそが、破壊的技術を拒絶するプロセスである」とさえ断言している。

 様々な業界のケーススタディに言及し分析しており、強い説得力を持つ。成功例だけでなく、失敗例も含まれている。むしろ、失敗例の方が強烈に印象に残る。また、論点が良く整理されており、大変読みやすい。

「組織にできることと出来ないことは、資源、プロセス、価値基準の3つの要素で決まる」。

 

 イノベーションに関する議論を通じて企業や経営や組織のあり方に対して多くの啓示を与えてくれており、非常に読み応えのある一冊である。

 

単行本、327ページ、翔泳社、増補改訂版、2001/7/1

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

  • 作者: クレイトン・クリステンセン,玉田俊平太,伊豆原弓
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2001/07/01
  • メディア: 単行本
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