密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

焼肉はバーベキューではない!?『バーベキューの歴史 (「食」の図書館)』

(著:ジョナサン ドイッチュ、ミーガン・J. イライアス、訳:伊藤 はるみ)

 

 「ゆっくり」「スモーク」「ロースト」。著者たちによると、この3つの条件を満たしているものだけが、バーベキューなのだという。だから、韓国の焼肉も、日本のジンギスカンも、バーベキューの定義には入らないのだという。「食の図書館」シリーズの一冊。著者2人はアメリカ人である。

 

 バーベキューは非常に古くからあると考えられる。人類が火を使いこなすようになってから間もなく登場したのだろう。ローマ人はバーベキューには関心がなかったようだが、似たような調理法の料理は世界中に存在した。中国では焼き豚になり、ドイツやフィジーでは子豚を丸ごとローストする。肉が多いが、魚を重要な食材として利用してきた地域もある。

 

 バーベキューは、直火ではなく、スモークと加熱された空気で調理する。これによって、時間はかかるが、味わいが出て、固めの肉でも柔らかくなり、日持ちもする。バーベキューはダイナミックな調理法になるので、男の料理とされてきた。コンテストが行われている地域もある。主役は肉だが、付け合わせも重要だ。

 

 世界各地のバーベキューもしくはそれに類する料理が紹介されている。歴史というよりは、世界のバーベキュー、といった趣である。巻末には、レシピが紹介されている。

 

単行本、180ページ、原書房、2018/6/20