著:森本 薫子
イーサンと呼ばれるタイ東北部のムクダハン県の農園に嫁いだ日本人女性が、日本の都会とは大きく異なるタイの田舎での暮らしについて紹介した本。薄くて、気軽に読める。自然の恵みと制約の中で、いわゆるスローライフといえる生活を営む人々が新鮮だ。
雨水を貯めて利用する。雑草もハーブも共生。虫も、蛇も、トカゲも、サソリも食べる。大変な米作り。牛や豚。ゴムやサトウキビの生産。面倒なこともあるけれど、貧しくとも、自然に助け合って生きている人々。時間の約束は緩く変更も当たり前。結婚式の招待状を数日前に渡されたり、貸したものが返ってこなかったり、突然訪問しても怒られないし怒らない。農村生活では年寄りの役目も重要で孤老はない。
オールカラーで、写真が豊富。この写真が文章以上に説得力があって、コオロギのレモングラス蒸しとか、料理に使うカエルとか、赤蟻と赤蟻の卵の和え物とか、生肉のラープ、牛の胎盤煮込み、首の周りに蛇を乗せている女の子とか、まさに百聞は一見にしかず、である。こんなところで生活してたら、たくましくなるし、免疫力もつくだろうと、見ていて普通に納得する。
「興奮するほど楽しくなることも、うんざりするほどいやなことも満載の、ネタには尽きない毎日」ということで、著者も当初はいろいろ戸惑いはあったようだし、今でもいろんなことがあるようだが、日本との対比を交えながら、かの地で旦那さんや子供たちや親戚たちと充実した生活を送っているのが伝わってくる。近年ニュースになった、タイのデモの事情についても触れている。
単行本、101ページ、めこん、2013/6/1
タイの田舎で嫁になる 野性的農村生活 (JVCブックレット) [ 森本薫子 ]
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