密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

クラシック音楽の中心にいる2大オーケストラ。「新編 ウィーン・フィル&ベルリン・フィル: 世界に君臨する二大オーケストラを徹底解剖」

編集:音楽の友

 

カラヤンがベルリンとウィーンとで、全然違う指揮をしたので驚きました」(ウィーン・フィルコンサートマスター:ライナー・キュッヒル)。

 

「オーケストラにはそれぞれの伝統があるので、大切なのはそのオーケストラの高いレヴェルを保ち、スタンダードを守ることです」(指揮者:マリス・ヤンソンス)。

 

「彼(ベートーヴェン)の主要作品は、人間である音楽家の可能性をも超えるものなのです」(ベルリン・フィル芸術監督:サイモン・ラトル)。

 

カラヤンが何より大事にしていたのは大きく丸い響きで、主旋律を歌わせることでした。一方、アバドにとって重要なのは透明性。彼はスコアに書かれている音をすべて聞かせようとして、内声部も大事にしました」(元ベルリン・フィルコントラバス奏者・楽団員代表:ルドルフ・ヴァッツェル)。

 

「ラトルも含めて、私は違いではなく、むしろ共通点を強調したいと思います。というのは3人(カラヤンアバド、ラトル)が皆、本当に音楽に打ち込み、身を捧げている人たちだからです。私は何よりもこの点が我々に合っていた理由だと思っています」(ベルリン・フィル首席トロンボーン奏者:クリストハルト・ゲスリング)。

 

「私個人は彼(ベルリン・フィル次期芸術監督のペトレンコ)の演奏を聴いて、ワルタークライバーのような音楽と伝統と方向性を感じました」(ベルリン・フィル首席フルート奏者:エマニュエル・パユ)。


 ウィーン・フィルベルリン・フィルを紹介したムック本。評論家の解説や過去の録音の紹介もあるが、なんといっても、両楽団に関係する奏者や指揮者のインタビューが興味深い。特に、ベルリン・フィルについては第一コンサートマスターに就任したばかりのノア・ベンディクス=バルグリーなど数名のインタビューが載っている。アバドのものは1999年のものである。

 ウィーン・フィルベルリン・フィルの楽団員達が使っている楽器の特徴解説も、面白く読めた。ウィーン・フィルのフルート・セクションは現時点では全員が日本製のフルートを使っているという。

 特に、ウィーン・フィルはウィンナ・ホルンに代表されるような際立った特徴があるし、基本的なメカニズムは同じだがウィーン・フィルが使うウィーンアカデミー式クラリネットベルリン・フィルのエラー式クラリネットは音色が違う。オーボエウィーン・フィルはウィーンアカデミー式を使っている。

 両楽団とも以前は男性だけだったが今は女性奏者が増えていること、両楽団の歴代コンサートマスター、日本人音楽家ベルリン・フィル、2つの楽団のメンバーたちが作っている室内楽グループについても紹介されている。

 個人的な話になるが、ベルリン・フィルの来日公演は1回、ウィーン・フィルの来日公演は2回、足を運んでいる。チケットが高かったことも含め、いずれも特別な思い出である。ベルリン・フィルウィーン・フィルも、時代によって変わり続けているが、世界屈指の超一流オーケストラとしての地位は守り続けている。伝統を守りながらも変化を受け入れる柔軟さも備えていることが、この2つの楽団に共通する特徴なのだな、と思った。

 

ムック、144ページ、音楽之友社、2016/3/7

新編 ウィーン・フィル&ベルリン・フィル: 世界に君臨する二大オーケストラを徹底解剖 (ONTOMO MOOK)

新編 ウィーン・フィル&ベルリン・フィル: 世界に君臨する二大オーケストラを徹底解剖 (ONTOMO MOOK)

  • 作者: 「音楽の友」
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 2016/03/07
  • メディア: ムック