密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

照明デザイン究極ガイド 最新版

 照明デザインの本。LED照明の特性を熟慮した内容になっているのが特徴である。大きめのサイズで、オールカラー。様々な空間や素材を活かした例がカラー写真で豊富に掲載されている。

 冒頭部分で、消費電力が少なく、発熱量が少なく、寿命が長く、器具のサイズが小さめで済むというところから、LED照明を理療する場合の利点が列挙されている。

 

・24時間つけっ放しでもOK(ただし、本書のこの記載については、実際はそれぞれの器具の注意事項や説明をよく読んで確認した方がいい)

・交換が容易でないところでも使える

・幕板や底板の寸法が小さくて済むので、間接照明の納まりがよい

・建具や家具に収めて間接照明に使いやすい

・曲面壁などを間接照明で演出しやすくなった

・器具が小さいので、天井懐がなくても納まる

・回り縁や幅木のように収められる

・上がり框や玄関の庇に納まる


 また、上記を踏まえ、LED照明は、照明デザインを考える上で以下のように使い勝手のよい特徴があるとされている。

・光を拡散できる

・スムーズな調光が可能(初期のLED照明はこれが難しかった)

・演色性が白熱灯に匹敵

・光の直進性が生きる

・空間全体を明るくできる

・まぶしさも徐々に改善

・間接照明の配光角度も自由自在

・ライン照明の“つぶつぶ感”は解消(最近では器具内で光を拡散できるものがある)

・色が変えられる

・メーカーが増えて選択肢が広がる

 実践テクニックの部分は、直接照明、間接照明、梁などの構造との組み合わせ、家具やエアコンやテレビの考慮、LDK、移動空間、諸室、水廻り、外廻りといったテーマ別にQ&A形式で紹介されている。木材やガラスやアクリル平板といった素材との組み合わせの例のバリエーションも豊富である。終盤では、実際のデザイン例がいくつも載っていて、目を引く。

 具体的かつ写真が伴った例が多いので、ビジュアル的にわかりやすい。本格的なLED照明時代に入った現代においては、照明デザインにおいてもその特徴を積極的に生かしていこうという考え方が出てくるのは自然である。その点で、今の時代にあった本だといえる。

 

単行本、143ページ、エクスナレッジ、2016/7/24

照明デザイン究極ガイド 最新版

照明デザイン究極ガイド 最新版