密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

富士山大噴火が迫っている! ‾最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模‾ (知りたい!サイエンス)

著:小山 真人

 

 富士山は活火山である。そして、著者によると、今の富士山の状態は、寝ている人がちょうど「寝返りをうった状態」ということだ。

 日本をよく知らない外国人であっても、Mt. Fuji はたいてい知っている。日本人にとっては桜と並んで日本を象徴する存在でもあるので、登ったり写真を撮ったりしたことのある人も多いだろう。しかし、科学的な視点から富士山について詳しく知っている人は意外に少ないのではないだろうか。本書は、噴火という視点から富士山の歴史と現状を分かりやすく解説している。図やグラフも豊富である。

 火山全般についての基本的な知識と解説及び富士山の特徴、現在の富士山の下には古い富士が埋まっていることや山体崩壊を起こして大きく形が変わったことがあること、現在の富士山の形になったのは比較的新しい時代であること、記録に残っている噴火の歴史と被害の紹介、富士五湖が今のようになった経緯、もし噴火があった場合の経済的な損失、ハザードマップや防災計画について、現在の富士山の活動の様子について紹介している。被害の可能性を考えると噴火は無い方がよいのはもちろんだが、一方で噴火がないままだと、富士山の形は年月を経るに従って崩れてしまうそうである。

 個人的には、いつ来るかわからない富士山の噴火のような災害に対して、いたずらに危機感をあおるだけのやり方では災害に対する備えとして十分とはいえないという著者の考え方にはうなずけるものがあった。

 

単行本、192ページ、技術評論社、2008/12/12

 

富士山大噴火が迫っている! ?最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模? (知りたい!サイエンス)

富士山大噴火が迫っている! ?最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模? (知りたい!サイエンス)

  • 作者: 小山真人
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2008/12/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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