密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

家庭でできる おいしいブルーベリー栽培12か月

著:荻原 勲

 

家庭でのブルーベリーの栽培方法について書かれた本。111ページ中80ページまでがカラー印刷。写真が多く、堅実かつ平易に書かれていて、理解しやすい。著者は東京農工大学教授。

内容としては、ブルーベリーの魅力と品種、植え付け方法と栽培管理、ブルーベリーの生態、Q&A形式でのポイント解説という構成になっている。

品種は豊富で、大きく系列で分けると、ノーザンハイブッシュは冷涼な地域向き、サザンハイビッシュとラビットアイは温暖地域向き。栽培では同じ系統から2品種選んで花粉を受粉する(他家受粉)によって結実率が高まる。植え付けは日当たりのよい場所を選んで、株間を十分に開ける(150~250㎝)。

病気はクロロシス(黄化)病がもっとも起こりやすく、これは鉄やマンガンの欠乏と関係が深い。病害虫はコガネムシの幼虫、ハマキ虫、ショウジョウバエ、アブラムシなどに注意。また、ブルーベリーを育てる時には水やりが重要。ブルーベリーは、繊毛根で根毛が無く、根の伸長範囲が浅くて狭く、水分や養分の吸収が弱い。このため、水はけのよい土地でこまめに水やりをして乾湿のめりはりをつけないと成長しないという。加えて、毎年、均一に質の良い果実をつけるためには、枝の剪定や摘房が重要。

ブルーベリーの表面に白い粉状のものがつくが、これはブルーム(果粉)といって、果実についた水をはじいたり乾燥を防止する役割があり、このブルームが均等につくと品質が高まるという。ちなみに、ブルームは、キュウリ、スモモ、ブドウ、スイカなどにもみられ、よく農薬に間違えられるらしい。

ブルーベリーの栽培の歴史は意外に浅い。元々はアメリカの先住民が利用してきたが、栽培による品種育成が行われるようになったのは1908年から。日本に入ってきたのは1951年だという。ただし、最近は、ジャムやワインの原料としてだけでなく、抗酸化作用や視力回復機能を持つとして注目されていて消費が拡大している。日本のブルーベリーの出荷の3割は加工用だという。自宅の庭でブルーベリーを栽培しているので手に取った本だが、知らないことがたくさんあって参考になった。

 

単行本、112ページ、家の光協会、2017/3/27

 

家庭でできる おいしいブルーベリー栽培12か月

家庭でできる おいしいブルーベリー栽培12か月

  • 作者: 荻原勲
  • 出版社/メーカー: 家の光協会
  • 発売日: 2017/03/27
  • メディア: 単行本