密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

Bボーイサラリーマン (幻冬舎文庫)

著:HIRO

「30歳になったら、死んでもいい。若い頃の俺は、本気でそう思っていた」。

 

 インパクトのある書き出しで、最初から小気味よく読者をひきつける。面白い。EXILE HIROが半生を振り返って書いた本。まさに、駆け抜けてきた、という感じである。

 若い頃の自分を否定することはないが、「あの頃の俺は、なーんにも分かっちゃいなかった、と思う」とも述べている。そして、様々な経験や苦労から、若い頃には見えなかったことが見えてきて、自分たちを支えてくれる周囲のスタッフや、父親や満員電車で通勤する社会人たちなど、多くの人たちに強い敬意を払う気持ちを持ったことも書かれている。

 

 最初に「あくまでもフィクションです」と断り書きがあり、「事実と関りがないわけじゃない。というか、きわめて、深く関りがある。嘘偽りのない、真実であったりする物語も、かなり含まれている。そして、「記憶は嘘をつく」「それに、やっぱり本というものはエンターテイメントなわけだ」と慎重な説明がある。

 とはいえ、ダンスで頭角を現したのも、ZOOでデビューして一躍脚光を浴びたのも、解散後いろいろあって、その後EXILEを結成して成功したのも、会社組織にして社長の役割を担ったことも、全体の流れとしてはそのまま事実である。多少盛っているところや変えてあるところは、カッコつきとか、あとがきに一部書かれている。

 

 エンターテイメントとして割り切ってもとても非常に面白い本だが、社会的な成功と挫折を味わった人から学ぶことはいろいろあり、そういう視点から読んでもいろいろな気づきがある本であるように思った。

 

文庫、217ページ、幻冬舎、2009/4/1

 

Bボーイサラリーマン (幻冬舎文庫)

Bボーイサラリーマン (幻冬舎文庫)

  • 作者: HIRO
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/04/01
  • メディア: 文庫
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