密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

相手に適切に対応してもらいたかったら、目的に沿ったきちんとした文章でメールを書かないと、なかなか良い返事はもらえないです。『相手を「必ず動かす」英文メールの書き方』

著:ポール・ビソネット

 

英文ライティングの本です。まるでカーネギー自己啓発本のようなタイトルと表紙ですが、実践的で使えます。著者はテクニカル・コミュニケーションの修士を持つ米国人。多くの有名企業でライティングのセミナーの講師を務めており、それ以外にもさらに2人のネイティブ・スピーカを校正に加わえて仕上げたそうです。

よくある、単に例文表現を並べたライティングの本ではありません。交渉相手は善人ばかりではないし、いろいろな誤解も生じるものだという当たり前の前提に立ち、パワーバランスも考慮した144の戦略別に分類して様々な表現の使い方をレクチャーしてくれています。実務的で応用の利く内容になっています。

後半では、30の状況別にソフト/ハードに分けたサンプル集が収められているのですが、このソフトとハードのサンプルメールの対照はなかなか興味深い。相手が勝手に価格を変えてきたとか、リアルにこんなことがあったらすごく大変だな、でも確かにありそうだなと思いながら読みました。英語の微妙なニュアンスの違いを理解する上でも役に立ちます。

仕事で海外と英文メールをやり取りする機会のある人であれば、手元に置いておく価値があると思います。前提となるスキルレベルは明確に書かれてありませんが、ある程度ビジネス英語の基礎知識がある人に適した内容といえるでしょう。

 

 単行本、271ページ、アルク、2014/12/19

[改訂版]相手を「必ず動かす」英文メールの書き方

[改訂版]相手を「必ず動かす」英文メールの書き方