密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

銀行員はどう生きるか

著:浪川 攻

 

 メガバンク3行の人員削減計画、日銀マイナス金利政策、かつての安定&高収入&出世レースから外れても関係会社への出向や転籍でしのげる時代は厳しくなるかも、フィンテックの影響、来店客の減少、米銀のリストラと店舗&ネットのデジタル化による復活、コンシェルジェがお客様を多機能端末や窓口に案内し、コンシェルジェが住宅ローンも含め幅広い窓口業務をこなす米銀のリテール、東大生就職先1位の時代は終わりを告げようとしている、というようなことが書かれてある。

 

 

 近年、既に類似の本はいくつか出ているが、読みやすくまとめてある一方、そんなに深い分析が行われている本ではない。また、日本の銀行はメガバンク3行の話が中心で、それより体力の劣る地銀の話はそれより少なく、信金信組はもっと少ない。ゆうちょ銀行は登場しない。また、「米銀の現状から邦銀の未来を探る」と副題にあるが、米銀の説明はそれほど多いわけではない。また、どうも銀行あるいは銀行員側の話が多く、ユーザー目線で見た場合の銀行はどうなのかというところがもうひとつである。一時収益源として成長し批判を浴びたカードローンについても書かれていない。また、フィンテックを脅威としているが、RPAのような内部的なものはともかく、現実は、日本のフィンテックスタートアップは規模が小さく、彼ら自身も銀行との協業を希望もしくは推進しているケースが多いことがこの本からは見えにくい。銀行が変革期を迎えていることは確かだが、フィンテックというよりは、低金利&マイナス金利、企業の資金調達方法の多様化、コンビニ支払い&コンビニATMといった原因の方が大きいだろう。

 

新書、203ページ、講談社、2018/4/19

銀行員はどう生きるか (講談社現代新書)

銀行員はどう生きるか (講談社現代新書)

  • 作者: 浪川攻
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/04/19
  • メディア: 新書